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4月14日(土)

 嘘かと思ったエイプリルフールの父親の入院から始まり、その父の様態を気にしつつ京都出張、帰京するとともに第15回目の本屋大賞発表を迎え、翌日は昼に内澤旬子さんの着せ替えの取材に立ち会い、夜は高野秀行さんのイベントで本を販売し、その翌日からは宮田珠己さんの「無脊椎水族館」の取材で鶴岡へ飛んだドタバタの2週間を終え待望の週末。

 疲労回復にはランニングが1番と朝5時半に起床し、曇り空の中15キロラン。鶴岡では桜が満開だったけれど、我がランニングコースの桜はとっくに散り、今は青々と茂らせた葉から毛虫が糸を垂れている。

 ランニングから帰ると、家には誰も居らず。妻はパート、娘と息子はサッカーの試合。疲労回復には「DAZN」が2番、とシャワーを浴び、目玉焼きとソーセージの朝食を作り、淹れたてのコーヒーを飲みながらのサッカータイム。無印良品のソファが全世界のスタジアムと化す至福のときを過ごす。

 いつの間にか眠ってしまったようで、パート仕事を終え帰宅した妻に起こされる。買い物に向かう。すっかりお気に入りとなった「天然酵母のパン MOKO」で店主とよもやま話。気のおけない会話は疲労回復の3番。

 午後は読書に勤しむ。まずは先週読んであまりによかった窪美澄『じっと手を見る』(幻冬舎)の再読。

 私の中では、こういってはなんだけれど打率2割1分8厘ホームラン19本三振85と非常に扱いづらい作家の窪美澄。

 ここ数作はボール球の大振りが続き、もはや我が読書のスタメン落ちかと悩んでいたところ、中井の伊野尾書店伊野尾さんから「今度のはすごくいいから絶対読んで」と猛烈プッシュされ、恐る恐る8番ライトで先発させてみたら、いやはやこれが4打数3安打2ホームラン1三塁打の打点7をあげる大傑作で、ひれ伏したのであった。

 富士山の麓で介護士として働く若者の、もはや夢も希望も死語となり、家族恋人友人同僚との人間関係もほとんど意味を失い、何かを求めて生きることもできなくなってしまった、まさに「はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざ」る現代の暮らしを描いた傑作小説。彼ら彼女ら、そして私たちは、じっと見る手をいつか誰かとつなぐ日が来るのだろうか。

 再読でも傑作の想いはまったくゆるがず。今のところ2018年のベスト1。

 その後、父親のお見舞い本として買い求めた椎名誠『あやしい探検隊 済州島乱入』(角川文庫)を読む。久しぶりに読んだあやしい探検隊は、まさかのバカ度が増しており、いやはやビックリ。「入院しているときでも椎名さんの本だけは読めるんだ」という父の言葉の意味がなんとなくわかる。

 夕方、娘と息子がそれぞれ試合を終えて帰宅。娘は勝ち、息子は負けたらしい。

 晩御飯は鶏の唐揚げと甘エビ。京都出張の帰路に買い求めたひっぱりだこ飯の器を息子のご飯茶碗にしているのだけれど、あの相当奥深くご飯を盛れる器で三杯食べても、息子は「おれのお腹、どうかしちゃったのかな? 全然腹がいっぱいにならないんだけど」と腹を擦りながら、お代わりを求める。恐るべし食欲。

 いつまでも食卓を離れぬ息子に炊飯器としゃもじを渡し、ベッドに横になる。

「本の雑誌」5月号で、♪akiraさんが「現代の警察小説に求める要素全部盛り!」「あまりのかっこよさに身もだえ必至の血みどろ外道ポリス・アクション・ノワールの傑作だ‼︎」と激賞されていたドン・ウィンズロウの『ダ・フォース』(ハーパーBOOKS)を読み始める。

 疲労回復には読書が4番、睡眠が5番だ。

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