« 2017年7月 | 2017年8月 | 2017年9月 »

8月28日(月)バスタブのないホテルを予約される日

  • 古典名作本の雑誌 (別冊本の雑誌19)
  • 『古典名作本の雑誌 (別冊本の雑誌19)』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    1,760円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 朝、出社すると事務の浜田が、来週、浜本と私の"おじさん二人組"で出張する旅程の予約を旅行会社にしている。

「ええ、二人一部屋で充分です」
「そこが一番安いホテルですか?」
「バスタブがない? 問題ありません」

 いったいどんな出張になるんだろうか......。

 ★   ★   ★

 先週金曜日に搬入となった新刊『古典名作本の雑誌』が大反響で、朝から追加注文がぞくぞくと届き出す。

 この本は、「本が売れない、読まれない」と言われるなかで、自分にできるのは優良なブックガイドを作ること──そう肝に命じて企画した本なので、とてもうれしい。たくさん売れて、本を読む人がひとりでも増えますようにと、直納に勤しむ。

 夜、ジム・ジャームッシュの新作「パターソン」をヒューマントラストシネマ有楽町へ観に行く。

 バス運転手のほとんど何も起こらぬ日常を描いた文学的な作品で、いい映画なのはとてもわかるのだけれど、何も起こらないなら最後まで何も起こらない方がよかったのではなかろうか。また最後に示されたメッセージがそれまでの意識の高さに比べると、なんだか妙に陳腐な気がしないでもない。

8月22日(火)本が売れないなら買う日

  • 世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語
  • 『世界をまどわせた地図 伝説と誤解が生んだ冒険の物語』
    エドワード・ブルック=ヒッチング,ナショナル ジオグラフィック, ,関谷 冬華
    日経ナショナルジオグラフィック社
    2,970円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • セックス・イン・ザ・シー (講談社選書メチエ)
  • 『セックス・イン・ザ・シー (講談社選書メチエ)』
    マラー・J・ハート,桑田 健
    講談社
    2,310円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • ビブリオ漫画文庫 (ちくま文庫 や 50-1)
  • 『ビブリオ漫画文庫 (ちくま文庫 や 50-1)』
    山田 英生
    筑摩書房
    858円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相 (文春文庫)
  • 『新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相 (文春文庫)』
    一光, 小野
    文藝春秋
    1,034円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他 (角川文庫)
  • 『田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他 (角川文庫)』
    田中 英光,西村 賢太
    KADOKAWA/角川書店
    968円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • アーネスト・サトウの明治日本山岳記 (講談社学術文庫)
  • 『アーネスト・サトウの明治日本山岳記 (講談社学術文庫)』
    アーネスト・メイスン・サトウ,庄田 元男
    講談社
    1,078円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 黒い迷宮(上)──ルーシー・ブラックマン事件の真実 (ハヤカワ文庫NF)
  • 『黒い迷宮(上)──ルーシー・ブラックマン事件の真実 (ハヤカワ文庫NF)』
    リチャード・ロイド・パリー,濱野大道
    早川書房
    814円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 黒い迷宮(下)──ルーシー・ブラックマン事件の真実 (ハヤカワ文庫NF)
  • 『黒い迷宮(下)──ルーシー・ブラックマン事件の真実 (ハヤカワ文庫NF)』
    リチャード・ロイド・パリー,濱野大道
    早川書房
    814円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ
  • 『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』
    宇都宮徹壱
    カンゼン
    1,836円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • マンボウのひみつ (岩波ジュニア新書)
  • 『マンボウのひみつ (岩波ジュニア新書)』
    澤井 悦郎
    岩波書店
    1,100円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • ニッポンの奇祭 (講談社現代新書)
  • 『ニッポンの奇祭 (講談社現代新書)』
    小林 紀晴
    講談社
    990円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代
  • 『無冠、されど至強 東京朝鮮高校サッカー部と金明植の時代』
    木村 元彦
    ころから株式会社
    2,530円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 本が売れないと嘆いているとどんどん本が売れなくなる、というのがこの20年で実証されたので、私は本を買うことにした。息を吸うように本を買い、手当たり次第レジに持っていき、いつか読むだろうと床に積む。私にとって読書とは、もはや背表紙を眺めることになりつつある。

 それでも本を買う。

 なぜなら本屋さんで平台や本棚を眺め、はっとするような本と出会うと脳内に快楽物質があふれてくるからだ。さらに、それをお金を払えば家に持ち帰り、所有物にできるというのでれば、これ以上の愉楽はない。

 というわけでここのところ買い求めた本は以下のとおりであるのだが、

『世界をまどわせた地図』エドワード・ブルック=ヒッチング(日経ナショナルジオグラフィック社)
『セックス・イン・ザ・シー』マラー・J・ハート(講談社選書メチエ)
『ビブリオ漫画文庫』山田英生(ちくま文庫)
『新版 家族喰い』小野一光(文春文庫)
『田中英光傑作選』田中英光(角川文庫)
『世界探検史』長澤和俊(講談社学術文庫)
『アーネスト・サトウの明治日本山岳記』 アーネスト・メイスン・サトウ(講談社学術文庫)
『黒い迷宮(上下)』リチャード・ロイド・パリー(ハヤカワ文庫NF)
『怪魚大全』小塚拓矢(扶桑社)
『デザインの仕事』寄藤文平(講談社)
『J2&J3 フットボール漫遊記』宇都宮徹壱(東邦出版)
『サッカーおくのほそ道』宇都宮徹壱(カンゼン)
『盤上の向日葵』柚月裕子(中央公論新社)

 本日も駆け足で、『マンボウのひみつ』澤井悦郎(岩波ジュニア新書)、『ニッポンの奇祭』小林紀晴(講談社現代新書)、『無冠、されど至強』木村元彦(ころから)を購入し、快楽と愉楽に浸る。しかし誠に残念ながら、2ヶ月先まで財布の底は尽きたので、しばし本を読むこととす。

8月21日(月)『古典名作本の雑誌』見本出しの日

  • 古典名作本の雑誌 (別冊本の雑誌19)
  • 『古典名作本の雑誌 (別冊本の雑誌19)』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    1,760円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 3日前に読み終えた柚月裕子の最新作『盤上の向日葵』(中央公論新社)の余韻に浸る、というか魂をもっていかれたまま出社す。登場人物が心に住みついてしまったようだ。

 8時半出社。事務の浜田は夏休み。机を拭き、コーヒーを淹れ、簡単なデスクワークを済ませたのち、8月の新刊『古典名作本の雑誌』の見本を持って、取次店さん廻り。

 日頃は20日あたりから仕入窓口に行列ができ、希望搬入日に「×」印が並ぶものの、今月は24日のみ「×」で、窓口も誰も並んでおらず、一番乗り。

 いつぞや地方小の川上さんが記されていた文章を思いだす。

「最も少ない日の新刊点数は132点、70万冊、最大日は335点、250万冊と約3.5倍で、少ない日は午後4時に作業終了なのに、多い日は夜22時以降も作業だといいます。」(「地方・小出版流通センター通信」No.1389より)

 それと合わせて「ほんのひきだし」で日販の古幡さんがデータとともに明示した「新刊発売日の見直しは、売上アップの鍵となるか?」の文章も頭をよぎる。

 見本出しは順調に終わり、一旦帰社すると──それにしても見本出し、かつてはほぼ一日仕事だったのに、今では半日、しかも意外と早い時間で済んでしまうのは楽だけれど淋しい──東京駅のM書店さんから背表紙を特集した「本の雑誌」9月号の追加注文が届く。早速、直納。担当のTさんとしばしお話。

 会社に戻ると校正・校閲の鴎来堂兼かもめブックスの柳下さんが、編集の高野と打ち合わせ中だったので、混じらせてもらう。柳下さんは、今、一番刺激を受ける人のひとり。

 助っ人アルバイト学生がテープ起こしで手一杯のようなので、資料打ち込みの単純作業を自分でする。打ち込んでいると頭に入って来るのがわかる。やはり許される限り仕事はすべて自分でやったほうがいい。

 本日はランニングデーなので、残業はせず18時に終業。帰宅後、8キロラン。買い替えたアシックスのランニングシューズがすこぶる調子いい。

 宇都宮徹壱『J2&J3フットボール漫遊記』(東邦出版)を再読しながら就寝。

« 2017年7月 | 2017年8月 | 2017年9月 »