8月28日(月)バスタブのないホテルを予約される日
朝、出社すると事務の浜田が、来週、浜本と私の"おじさん二人組"で出張する旅程の予約を旅行会社にしている。
「ええ、二人一部屋で充分です」
「そこが一番安いホテルですか?」
「バスタブがない? 問題ありません」
いったいどんな出張になるんだろうか......。
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先週金曜日に搬入となった新刊『古典名作本の雑誌』が大反響で、朝から追加注文がぞくぞくと届き出す。
この本は、「本が売れない、読まれない」と言われるなかで、自分にできるのは優良なブックガイドを作ること──そう肝に命じて企画した本なので、とてもうれしい。たくさん売れて、本を読む人がひとりでも増えますようにと、直納に勤しむ。
夜、ジム・ジャームッシュの新作「パターソン」をヒューマントラストシネマ有楽町へ観に行く。
バス運転手のほとんど何も起こらぬ日常を描いた文学的な作品で、いい映画なのはとてもわかるのだけれど、何も起こらないなら最後まで何も起こらない方がよかったのではなかろうか。また最後に示されたメッセージがそれまでの意識の高さに比べると、なんだか妙に陳腐な気がしないでもない。