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7月24日(月)

  • MANIJU(通常盤)
  • 『MANIJU(通常盤)』
    佐野元春 & THE COYOTE BAND
    DaisyMusic
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  • バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)
  • 『バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)』
    前野ウルド浩太郎
    光文社
    1,012円(税込)
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  • サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ
  • 『サッカーおくのほそ道 Jリーグを目指すクラブ 目指さないクラブ』
    宇都宮徹壱
    カンゼン
    1,836円(税込)
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  • 覇道の槍 (時代小説文庫)
  • 『覇道の槍 (時代小説文庫)』
    天野 純希
    角川春樹事務所
    858円(税込)
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  • ライトハウス すくっと明治の灯台64基 (World architecture)
  • 『ライトハウス すくっと明治の灯台64基 (World architecture)』
    藤岡 洋保,野口 毅
    バナナブックス
    2,530円(税込)
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 朝、6時過ぎに娘が家を出て行き、7時に息子が出て行く。先週で学校は終わり夏休みに入ったものの、ともにサッカー部の部活が続く。

 高校2年になった娘は3年生が引退し、中心選手となりFWに抜擢され、ここ2試合連続でゴールを決めているらしい。中学1年の息子は20人以上いる同級生の中でレギュラーになるための競争に勤しんでいる。

 最近では私のサッカーの試合にチームメイトとして出場してもらう機会も増えているのだけれど、私が勝てるのは貪欲に(無鉄砲に)ゴールを狙う姿勢(わがまま)と口(うるさい)ばかり。30年以上一緒にサッカーをやっている友達曰く「人間性は比べようもない」らしい。

 子ども達が頼もしい。そして眩しい。サッカーが子どもを育ててくれた。

 5年ぶりの免許の更新を終えてから出社。

 佐野元春のニューアルバム「MANIJU」が出たので、出社のブルーも会社のクソもまったく苦にならない。佐野元春の尽きぬ創作意欲と再生産にならないチャレンジ欲はいったいどこから湧いてくるのだろうか。今回のアルバムは、コヨーテ・バンドになって4作目にあたるのだけれど、「COYOTE」「ZOOEY」「BLOOD MOON」と着実にホップ・ステップ・ジャンプした上に、「MANIJU」は二段階ロケットを発射させたかの衝撃だ。

 溜まっていたデスクワークと新事業開発部の新製品、浅生ハルミンさんイラストのブックカバーの納品に勤しむ。

 それにしても仕事はこんなに増えているのに全然本が売れないとはどういうことだ。努力する方向が間違っているのか、努力が足りないのか。

 諦めてしまいそうになる心を原口元気の「(日々の積み重ねを)やることによって、それが3か月後に1点入るか入らないか、ほんとに小さなことだと思うんですけど、それしか上に行く手段が思い浮かばないので、やるしかないですよね」という言葉を思い出し、必死に食い止める。

 売れぬなら買うしかない──。
 というわけで、夜、三省堂書店さんを回遊し、本を買い求める。

 不動まゆう『灯台はそそる』(光文社新書)
 前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)
 宇都宮徹壱『J2&J3フットボール漫遊記』(東邦出版)
 宇都宮徹壱『サッカーおくのほそ道』(カンゼン)
 天野純希『覇道の槍』(時代小説文庫)

 この春、私は灯台に目覚めたのだった。
『ライトハウス すくっと明治の灯台64基』 藤岡洋保、野口毅(バナナブックス)によって。

7月10日(月)本の雑誌を届ける日

  • 本の雑誌410号2017年8月号
  • 『本の雑誌410号2017年8月号』
    本の雑誌編集部
    本の雑誌社
    856円(税込)
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 肌をジリジリ焦がす暴力的な日差し。目眩をもよおす猛烈な暑さ。そんな中でも私の仕事は外に出なければならない。営業。それは人と会って話をし、売上や企画を生み出す仕事。

 まずは先週MacBookの修理を依頼していた銀座のアップルストアへ。なんと今月4度目の訪問。そのうち2度は娘がiPhoneを壊し、全取っ替えになったため。今回のMacBookはその心臓部であるロジックボードを交換し奇跡の復活を果たした。もうアップルストアは怖くない。

 一旦会社に戻って、すぐに東京堂書店へ。今月19日に開催する荻原魚雷さんと岡崎武志さんのトークイベントの打ち合わせ。共同主催の芸術新聞社のA社長と編集担当のYさんも同席。お二人ともフットサルチーム「アルトムント」のメンバーで球を蹴り合っており、打ち合わせもとんとん拍子に進む。昼は共栄堂でポークカレー。

 再度会社に戻って、納品の準備。できたばかりの「本の雑誌」2017年8月号を駒込のBOOKS青いカバにお届けする。

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 こちらは前リブロ、元古本屋勤務のOさんが満を持して今年初めにオープンした新刊も古本も扱う文字通りの「本屋」さんである。オープン時には、15坪の店内の棚にもだいぶ空白があったものの、半年経った今は本がぎっしり。しかも魅力的な本がズラリと並んでいる。

 Oさんも薦めていらした滝口悠生『茄子の輝き』(新潮社)の感想を伝えると(そのうちじっくり紹介しますが傑作です。読んでください)、なんともう初回に仕入れた10冊は完売してしまったそうで、追加注文分が届くのを待っているところだという。

 たかが10冊と侮るなかれ。いまどき発売一週間で10冊も売れる文芸書なんてそうそうない。しかもここは15坪の本屋さんなのだ。

 おすすめのPOPを立て、常連さんには本が出る前から声をかけ販売していたそうだか、それもこれもOさんとお客さんの信頼関係でしょうねと指摘すると、Oさんから面白い言葉が聞こえてくる。

「一人称で本を売る、ってことがこれからとても大事な気がします」

 一人称で本を売る......それは裏返してみれば、お客さんが値段も中身も同じ本を、どこで、誰から、買うか選択する時代になってきたということだろう。おそらくその先頭を走っているのが、Titleの辻山さんであり、誠光社の堀部さんだ。辻山さんのお店では、WEBショップでの注文も全国からかなり頻繁に届いているという。そこで販売されている本の多くが、どこの本屋さんでも買える本なのに、だ。

 そういえば、先日業界紙の「新文化」を読んでいたら丸善ジュンク堂書店の工藤社長が大型書店の行き詰まりを嘆き、しかしかといって中小書店は立地が第一条件であり、好立地は家賃が高くとても商売にならないとこぼしていた。

 本当にそうなんだろうか──。このBOOKS青いカバは駒込駅から歩いて10分ほどかかるし、いま大人気のTitleだって荻窪駅から15分はかかるのだ。

 それでもどちらのお店も気づけばお客さんが何人もいて、真剣に棚を見つめている。今や駅前が好立地とは限らず、ある種の本屋さんは逆に駅から遠いことが、わざわざ訪れた感を演出する効果に役立っていたるのではなかろうか。一人称であれば立地なんて関係ない。本屋さんは大きいか小さいかで語られ、選択される時代ではなく、そこに「人」がいるかどうか、なのかもしれない。

 そして、一人称というのは、出版社も同じことだ。一人出版社がもてはやされるのは、誰が書いたのかと同じくらい誰が作っているのかが注目されているからに他ならない。一人称の出版社の代表は夏葉社の島田さんだろう。

 果たして自分はどうだろうか。一人称で仕事ができているだろうか。

 否だ。

 先日、町田市民文学館ことばらんどで開催した「本の雑誌厄よけ展」で痛感したけれど、結局どこまでいっても「本の雑誌」は椎名誠、目黒考二、沢野ひとしの雑誌なのである。どんなに頑張っても「私の」あるいは今いるメンバーの「私たち」の雑誌にはならない。

 別に認めてもらいたいわけではなく、自分には一人称で語れるものがないことに気付かされたのだ。46歳にもなろうというのに、なんにもない。

 それも当然だ。私には覚悟がないし、何も背負わず、誰かに甘えて、隠れて、逃げてばかりいるからだ。Oさんのように自分の足で立ち、一人称で働き始めた人が、真夏の太陽のように眩しい。

 自己嫌悪に陥ったところで猛暑は変わらず、納品は続く。次なる訪問店は8月号の巻頭グラビアで登場願った王子のブックス王子だ。店頭に立つのは80歳のW店長で、決してノスタルジーではなく、ここは生きた町の本屋さんだ。

ouzi.jpg


「雑誌出来上がりました!」と声をかけると、「ありがとうありがとう、わざわざ届けてくれたのか」と暑さもぶっ飛ぶ笑顔で迎えてくれる。

 この笑顔の人から本を買いたいと思わされる、まさに一人称の本屋さんだ。今後、途中下車して本を買うことを決意す。

 営業後、直帰。本日はランニングはお休みで長友の体幹トレのみ。昨日のフットサルでこれまでだったら決まらなかったゴールが決まり、早速効果が出ている。飽きずに続けるのみ。

7月3日(月)うんともすんとも言わないパソコンと格闘する日

  • 今日も一日きみを見てた (角川文庫)
  • 『今日も一日きみを見てた (角川文庫)』
    角田 光代
    KADOKAWA
    572円(税込)
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 ここのところ気づけばトークイベントやサイン会や講演会などで毎週休日のどちらかは出勤している。

 おかげでなんだか生活のリズムが崩れており、月曜もまったくリフレッシュされないままどうにか気持ちを盛り上げて会社に出社するも、パソコンの電源を入れたところ、本来であれば「ジャーン」と音がするはずがまったく無音。

 無音どころか画面は黒いままで、パソコン内部からハードディスクを読み込むカリカリ音もしなければ、電源が付いたことを知らせるランプも点灯しない。

 焦ってはいけない。これは私が電源ボタンを押し間違えただけで、しっかり押せば、いつものようにパソコンは立ち上がるはずだと深呼吸をひとつふたつし、ボタンをゆっくり慎重に押すもやはり何ら反応がない。

 焦ってはいけない、焦ってはいけない、焦ってはいけない......考えれば考えるほど冷や汗が流れてくる。そして気づけばゲームセンター嵐なみの連射で電源ボタンを押しているが、それでも我がパソコンはうんともすんともいわない。

 終わった。我が人生終わってしまった。メールはスマホで読めるものの、ここには大切なデータがたくさん入っているのだ。「バックアップしたほうがいいですよ」「ドロップボックス使いなさいよ」誰かが言っていたことが走馬灯のように蘇る。しかし時すでに遅し。パソコンは動かないのだ。私にはもうお手上げの状態であり、Facebookで嘆き悲しむことしかできずにいた。

 するとその嘆きを見た元S書店、現ネットワーク会社に勤めるKさんが、午後会社が休みになったので今から本の雑誌社に行って見てみましょうかとメッセージをいただく。まさかそんな優しい人がいるのだろうかと驚いていると、本当にKさんは颯爽と現れ、まるでお医者さんのように診断すると、いくつかの道具をつかってパソコンから大切なデータをサルベージしてくれたのであった。もう二度と会えないと思っていた大切なデータが目の前にあることが信じられない。あとはどうやらハード的な問題らしいので、アップルストアへ持っていくよう教えていただく。

 Kさんが書店時代、私は特に何かしたわけではなかった。それなのにこんなに優しくしていただき、いったいこういった恩はどう返したらいいだろうか。時間が経てば経つほど泣けてきて、結局自分も人に優しくすることでしか恩返しできないと気づく。

 角田光代『今日も一日きみを見てた』(角川文庫)読了。

 どちらかといえば犬派だった角田さんが、ある縁で飼いだした猫トトとの日々を綴ったエッセイ集。かつて飼っていた猫の匂いや足裏のぷにょぷにょ感をまざまざと思い出し、涙がとまらない。猫、また飼うか......。

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