« 2015年12月 | 2016年1月 | 2016年2月 »

1月22日(金)

 朝、通勤路にある高校を受験する娘を送る。学校のことは専門外なので、すべて本人と妻に任せている。

 出社すると、昨夜放送されたTBSテレビ「クレイジージャーニー」に高野秀行さんが出演した影響で、朝から『謎の独立国家ソマリランド』の注文が殺到。番組は異例の2週連続登場となるそうで、ソマリランドに関しては来週の放送だとか。来週どうなっちゃうんだろうか。

 1時、牧眞司さん来社。5月発売予定のSF本ガイドブックの打ち合わせ。

 3時、大森望さん来社。2月刊行の『50代からのアイドル入門』のカバー撮影。カメラマンは「酒とつまみ」が誇る齊藤正さん。

 5時、内澤さん来社。連載「着せ替えの手帖」の取材。

 7時、坪内祐三さんと浜本が飲んでいる「上海庭」に合流。坪内さんが発した「自分で作ったチャンピオンベルトを自分で巻いている」という表現が頭から離れず。

 二軒目は、一度行ってみたかった根津のBAR「長谷川」へ連れていっていただく。カメラマンの齊藤正さんと「酒とつまみ」のWさんもカウンターで痛飲していた。

1月21日(木)

 津田沼のM書店を訪問。Sさんと「本(小説)は難しい」と感じて敬遠しているお客さんがいっぱいいるんじゃないかという話になる。言われてみれば、私だって18歳で突如本を読みだすまで本は難しいもんだと思い、娯楽の選択肢にはまったく入っていなかった。

 では、その難しいと感じているお客さんにとって書店の棚は手を伸ばしたくなるようになっているかといえば、たいていの文芸書の売り場は、著者の五十音順で、若干のジャンル分けがあるくらい。

 あるいはPOPにしてもそうだけれど、私たち(というのは常に本を読んでいる人)は本を面白いかどうかで紹介することが多い。しかし実は本をあまり読まない人は、面白いかどうかよりも自分が読める本なのかどうかを知りたいのかもしれない。

 例えば私の妻はあまり酒が飲めない。飲めないけれど飲みたい夜はあるらしく、そういうときは「ほろよい」という缶酎ハイを買ってくる。これはアルコール分3%の酒で、味もぶどうやらももやらジュースのような甘いものが多く、大変飲みやすいらしい。

 きっとこういう酒を毎日飲んでいるうちに肝臓は鍛えられ、どんどん強い酒が飲めるようになり、そして事務の浜田や編集の宮里のように毎日酒が飲みたくなって、酒業界は儲かるという構図になっているのだ。それは酒業界だけではない。たいていのものはまず初心者向けのエントリー商品があり、そこから順々に専門的になって、もはやそのものがなければ生きていけないというお客さんを作っていくのだ。

 では本も読みやすい本を「ほろよみ」や「ビギナー」などと分類して棚を作ってみてはどうだろうか。あるいはアルコール度数のようにリーディング度数などという基準を作って表示してみてはどうだろうか。

 しかしそもそも読みやすい本ってなんだろね、というところで時間切れ。

1月20日(水)

  • 4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史 (双葉文庫)
  • 『4522敗の記憶 ホエールズ&ベイスターズ涙の球団史 (双葉文庫)』
    村瀬 秀信
    双葉社
    834円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 単行本が出た時、悲壮感たっぷりのノンフィクションかと思いレジまで持っていかなかった村瀬秀信著『4522敗の記憶』が文庫になったので購入。

 大洋ホエールズから現在の横浜DeNAベイスターズにいたるまでの球団物語なのだけれど、これがもう愛があるからこそできるウィットに富んだ、まるでサイモン・クーパーやニック・ホーンビィのような日本では非常に珍しい、そして待望だったスポーツ・エンタメノンフィクション。

 こんな傑作なら単行本が出た時にすぐ読んで、「本の雑誌」の1位に推薦すればよかったと悔しい気持ちでいっぱいになる。これはホエールズもベイスターズも野球を知らなくても楽しめる本だ。

 なぜならチームというものが、どのように凋落していくかなんてどこも一緒だからだ。大切な選手はいとも簡単に放出され、理想も戦略もないまま監督交代を繰り返し、親会社や天下りの経営者はチームを理解しないまま口出しする。ここで描かれているホエールズやベイスターズを浦和レッズに置き換えることは簡単なのだった。そして、それでも愛し続けるしかできないのがファンであり、ファンの思いはみんな一緒なのだ。

 そういう意味では4522敗はまったく羨ましくないけど、こんな本を世に出してもらえたホエールズ&ベイスターズファンがものすごく羨ましい。スポーツ・エンタメノンフィクションの、いやノンフィクションの傑作。

 伊藤壇『自分を開く技術』搬入。

1月19日(火)

  • フーリガン [DVD]
  • 『フーリガン [DVD]』
    イライジャ・ウッド,チャーリー・ハナム,クレア・フォーラニ,レオ・グレコリー,マーク・ウォーレン,レクシー・アレキサンダー,イライジャ・ウッド
    KADOKAWA メディアファクトリー
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 もうまもなく出る、木内昇の『よこまち余話』(中央公論新社)の噂を聞く。ものすごく面白いらしい。早く読みたい。

 駿河台下のジャンクショップにてDVD「HOOLIGANS(フーリガン)」を購入(480円)。

1月18日(月)

 雪積もる。そこへびしゃびしゃと雨が降る。

 さすがに自転車に乗れず、歩いて駅へ向かうが、あっという間に靴のなかに水、というかシャーベット状の氷水が侵入してくる。とくに横断歩道が危険だ。下水溝に流れるはずの水が、くるぶしくらいまで溜まっている。

 そんなところに足をつけなければ駅へたどり着けない。足はじんじんし、だんだん熱くなってくる。痛い。苦しい。涙があふれる。

 そんなにしてまで会社にいく必要があるんだろうか。
 しかし私だけではなく、多くのサラリーマンが足をずぼずぼぼしゃぼしゃ埋めながら駅へ向かっている。登山家は「そこに山があるから山に登る」そうだが、日本のサラリーマンは「そこの会社があるから出社する」のだ。
 決して、仕事があるからではない。

 駿河台下の交差点が見えた時、私はエベレストの登頂を終え、突如悪天候に苦しめられた末、何度もビバークを繰り返し、九死に一生を得てベースキャンプにたどりついた気分だった。あと300メートル会社が遠かったら凍傷になっていたかもしれない。

 出社後、すぐに靴と靴下を脱ぎ、足にタオルを巻き付け、輪ゴムで止める。回復を祈る。サラリーマン人生でもっともつらい出社だった。

 助っ人学生に靴下を買ってきてもらい、夜、松戸の「鳥孝」にて来月より良文堂書店さんで開催される第15回ガチンコフェアの商品発表会に参加。楽しい飲み会だった。

1月17日(日)

息子のサッカー当番。川越水上公園。3時間で30点くらい取られている。浦和レッズじゃなくてよかった。

1月16日(土)

  • パピヨン [Blu-ray]
  • 『パピヨン [Blu-ray]』
    スティーヴ・マックィーン,ダスティン・ホフマン,ロバート・デマン,ウッドロー・パーフリー,アンソニー・ザーブ,フランクリン・J・シャフナー
    キングレコード
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

「パピヨン」観る。「ゴッドファーザー」や「アラビアのロレンス」などと一緒で大きい映画だ。マックィーンの演技力に舌を巻く。

 それにしてもアメリカ映画には、なんて「脱獄もの」が多いのだ。脱獄=自由の象徴なのだろうか。

1月15日(金)

『自分を開く技術』の構成と編集をやっていただいたワタル社長を訪問。できたばかりの本を手渡すと自然と握手を求められる。

 もしかしたら人生は何度握手できるかが大切なのかもと思う。

 頭のなかで試合開始のホイッスルが鳴り響く。これは仕事ではなく、試合だ。

 帰宅後ランニング8キロ。

1月14日(木)

 アジア18カ国でプレーするサッカー選手伊藤壇さんの初の著書『自分を開く技術』の見本を持って取次店さん廻り。

 大阪屋さんで新刊搬入口の日販さんへの協業化の案内をいただく。2月1日より、王子流通センターへとのこと。これでほとんどの新刊搬入がトーハンさんと日販さん受け入れになる。

 見本出しを終え、サッカー本版元であるカンゼンさんを訪問。旧知のTさんMさんは残念ながら不在。まもなく発売となるらしい『アジアフットボール批評』に『自分を開く技術』を売り込むつもりが、なんと伊藤壇さんの特集が組まれているそうだ。

 いったん会社に戻り、小学館の編集者と待ち合わせ。文庫版『サッカーデイズ』のカバーの色校をいただく。装丁に関してほとんど編集者まかせだったのだけれど、唯一こだわったのが背の色。浦和レッズの赤、もしくは黒か白以外絶対ダメと我が三原色を指定したのだった。

 しかし残念ながら決まった24色の中からしか選べず、なるべく浦和レッズの赤に近い色を選択。早速巻いてみると、その赤が映える。感激。

 丸善お茶の水店さんにて、娘に頼まれた「週刊新潮」を購入して帰宅。

12510410_821135664663969_1232807007646421633_n.jpg

1月13日(水)

 5時起床。ネットに踊るSMAP解散の報をいち早くアラシックの娘に教えるようと寝室に飛び込む。そのとき何を間違ったのか「おい! 嵐、解散だってよ」と言ってしまい大変なことに。

 午前中、隠密行動。某所にて久しぶりの顔合わせとなった旧知の営業マンより「杉江さん、まだ本屋さん廻っているの?」と訊ねられる。一瞬、まだそんな現場仕事しているのかという蔑む質問なのかと思ったけれど、おそらくそれは管理職になってしまった彼からの羨望だと理解した。「安心してください。廻ってますよ」と答える。

 昼、とある書店さんから東京に出てきてると連絡があり、SANKOUENでランチ。最近は出店しているショッピングセンターやビル側から店作りや品揃えの制限を受けることが多いとか。

 小宮山書店の3冊500円のガレージセールで泉麻人『東京23区物語』(主婦の友社)、ミルダ・ドリューケ『海の漂泊民族 バジャウ』(草思社)、佐野真一『業界紙諸君!』(中央公論社)購入。

 帰宅後ランニング8キロ。娘の怒りはいまだおさまらず。

1月12日(火)

 猛烈に寒い。といってもこれが本来の冬。

 本棚の前の積読山から乙川優三郎『ロゴスの市』(徳間書店)をカバンにしまい、通勤電車で読み出すとページをめくる手が止まらず。仕事をサボりたいところなのだけれど、午前中、アポがあり、泣く泣くしおりを挟む。

 隠密行動後、営業。リブロにいた辻山さんが荻窪にオープンした本屋さん「Title」を初訪問。子どもの頃、本屋さんで感じたワクワク感と畏怖する感じを猛烈に思い出す。

1月11日(月)

  • ナイト・オン・ザ・プラネット [DVD]
  • 『ナイト・オン・ザ・プラネット [DVD]』
    ウィノナ・ライダー,ジーナ・ローランズ,ロベルト・ベニーニ,ジム・ジャームッシュ
    パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 息子のサッカー当番。寒さに負けて、車のなかに引きこもる。

 帰宅後、宮田珠己さんと内澤旬子さんから「杉江さん絶対好きだよ」と薦められていたジム・ジャームッシュ監督の作品の中から「ナイト・オン・ザ・プラネット」観る。ブラボー!!

 ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの同時刻のタクシーを描いたオムニバス映画で、それぞれのやりとりにその街らしさがしっかり表現されているし、余韻を残す人間模様も素晴らしい。2日連続、Blu-ray即購入。

1月10日(日)

  • ストレイト・ストーリー リストア版 [Blu-ray]
  • 『ストレイト・ストーリー リストア版 [Blu-ray]』
    リチャード・ファーンズワース,シシー・スペイセク,ハリー・ディーン・スタントン,ジェームズ・カダー,ウィリー・ハーカー,デイヴィッド・リンチ
    パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 予定のない休日。
 ランニング15キロ。見沼代用水西縁から東縁に行きたいのに、いつも迷ってたどり着かない。家に帰って地図をひらくと川が蛇行して思わぬ方向に流れているようだ。

「知恵と勇気」
「努力は運を支配する」

 引退会見で鈴木啓太が話したオシムさんに教わった言葉をノートに書き写す。

「ストレイト・ストーリー」観る。人生の終盤が見えてきたおじいさんが、トラクターに乗って些細なことで断絶している兄弟に会いに行く。ゆっくり進む旅の間に、過去を振り返り、人に出会い、美しい景色に包まれ、夜空を見上げる。

 猛烈にカヌーで川下りしていた頃を思い出す。Blu-ray即購入。

1月9日(土)

  • ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ [DVD]
  • 『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ [DVD]』
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS
  • スナッチ (1枚組) [DVD]
  • 『スナッチ (1枚組) [DVD]』
    ベネチオ・デル・トロ,ブラッド・ピット,ビニー・ジョーンズ,デニス・ファリーナ,ガイ・リッチー
    ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 息子のサッカー。一対一で同級生に何度も負けているのにまったく悔しそうな表情を浮かべない。私だったら泣きながらでも追いかけ、ファールを取られようがタックルし、意地でもボールを奪いとりにいくだろう。

 息子がそんなことをする姿を一度だって見たことがない。ケンカもしたことがなければ、声を荒らげたことすらない。何かが足りない。舌打ちとため息が止まらない。

 帰りの車のなかで、「お前には闘争心がないのか? 戦う気持ちはないのかよ?」と叱責する。

 すると息子はしばらく下を向いてから答えた。

「おれ、優しい子なんだよ」

 赤信号で停まったときに、息子を抱きしめる。汗臭い身体を強く抱きしめる。

★   ★   ★

 とある映画好きの書店員さんから「『トレインスポッティング』が好きなら好きかも」と薦められたガイ・リッチーの「Lock, Stock and Two Smoking Barrels」と「Snatch」を立て続けに鑑賞。

 どちらも素晴らしかったけれど、「Lock,Stock and Two Smoking Barrels」は、「トレインスポッティング」と「レザボア・ドッグス」を足したような、今まで観た映画のなかで、一番クールでおしゃれでカッコよかった。

1月8日(金)

  • 海街diary 7 あの日の青空 (フラワーコミックス)
  • 『海街diary 7 あの日の青空 (フラワーコミックス)』
    吉田 秋生
    小学館
    600円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 朝、取次店N社のFさんやってくる。Fさんと話しているとたくさんのアイディアが湧いてくる。今年はいろいろと動いてみようという気になる。

 午後、営業。
 待ちに待った吉田秋生の『海街diary』7巻が出ていたので即購入。電車のなかで読み出すも、涙が止まらなくなってあわてて下車。

 住むべき場所に住み、多くの人と交わり、仕事だけでなくきちんと自分の居場所がある暮らしが、ものすごく羨ましい。
 
 直帰。時間があったので文庫でも買おうかと最後に訪問した書店さんの棚をうろつくが、文庫、ものすごく高くなってる。翻訳ものはともかく、エンターテイメントの国内作家のものでも1000円を越えるものがちらほら。表紙を見て、これくらいの値段かな? と思った金額よりだいたい200円くらい高い感じ。

 売れないから高くなるという理由はわかるものの、文庫という"物"が、1000円を越える"物"にはなかなか見えず、数点購入断念。

1月7日(木)

 角田光代は怪物だ。
 通勤中に『坂の途中の家』(朝日新聞出版)を読了し、思わず叫びたくなる。いや、もしかしたら叫んだかもしれない。どうしたらこんな恐ろしい物語を書けるんだろうか。

 育児中の、誰もが目を背け、なかったことにしたい記憶や思いを、これでもかこれでもかと抉りだす。そして人間関係の本質を露わにする。おそろしい。角田光代はやっぱり怪物だ。

 朝、おじさん三人組の取材で、東中野の映画館「ポレポレ」に直行。「ヤクザと憲法」観る。

 昼、神保町に戻って「菊水」でひじきめし定食。至福。しかも七草粥も振る舞われる。

 午後、紀伊國屋書店西武渋谷店さんに『おすすめ文庫王国2016』と特製ブックカバー直納。

1月6日(水)

 企画会議。会議が終わったところで取次店C社のTさんやってくる。依頼している原稿の相談。Tさんが帰ったあと東京美術の営業Yさんやってくる。業界よもやま話と2月から入社されるという敏腕営業マンのこと。

 午後、駿河台下交差点の三茶書房の店頭ワゴンで『銀座』松崎天民(中公文庫)を購入(100円)した後、清澄白河のしまぶっくを訪問。店主の渡辺さんと某案件の打ち合わせ。

 文庫版『サッカーデイズ』のカバーがあがってくる。龍神貴之さん(イラスト)と高柳雅人さん(デザイン)のおかげで素晴らしい仕上がりに。感動。小学館より2月5日発売。

SOCCER.jpg

1月5日(火)

  • 暴力脱獄 [Blu-ray]
  • 『暴力脱獄 [Blu-ray]』
    ポール・ニューマン,ジョージ・ケネディ,ハリー・ディーン・スタントン,スチュアート・ローゼンバーグ
    ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 仕事始め。
 営業マンの仕事始めといったら取引先への挨拶まわりというのが定番だと思うけれど、私の場合、年始に投票締め切りとなった本屋大賞の一次投票のFAX投票を打ち込むのが仕事始め。打ち終えなければ集計できず、ふうふういいながら手書きの文字を判読し、タイプしていく。

 一段落ついたところで自社出版物の全在庫数を確認。『謎の独立国家ソマリランド』が予想していたよりも早く品切れ危険水域に経ってしており、2016年初の重版を手配。9刷。うれしい。

 発売からまもなく3年となるのだが売れ行き衰えず。ロングセラーって本当にあるんだなあ。目標はこういう本を毎年作ること、なんだけれど、そんな簡単なもんじゃない。

 午後、挨拶まわり&営業。長期休暇明けの営業は、ひたすら怖い。うまくしゃべれるだろうか、きちんと反応できるだろうか、失礼なことを言ってしまったりしないだろうか。緊張が走り、緊張するが故に失敗してしまいそうで、また恐怖心がわいてくる。膝を震わせ、喉をからからにして何軒か回るとやっと緊張がほぐれてくる。

 年末年始は、「王様のブランチ」ブックアワード大賞に選ばれ、直木賞候補にもなっている宮下奈都の『羊と鋼の森』(文藝春秋)が絶好調だったようで、各店売り切れの様子。また、又吉直樹の『火花』(文藝春秋)も再点火し、ランキング入りしているお店が多い。

 帰宅後、娘の塾、息子のナイター練習の迎えに行き、映画「暴力脱獄」を観る。ポール・ニューマンの不敵な笑みがたまらない。

1月4日(月)

  • ルディ [DVD]
  • 『ルディ [DVD]』
    ショーン・アスティン,ジョン・ファブロー,ネッド・ビーティ,チャールズ・S・ダットン,デビッド・アンスポー
    ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 初夢は、本の雑誌おじさん三人組が、実は過去に人を殺し処分していたという「冷たい熱帯魚」そのまんまな内容。最悪の寝起きだった。そして二日目の夢は、口から石が出てくるというファンタジックなもの。去年までほとんど夢を見なかったのにどうしたものか。

「RUDY」観る。子どもの頃からノートルダム大のフットボールチームに入ることを夢見ていた主人公は、経済的な事情と学力的な問題で家業の鉄工所で働くことに。しかしどうしても夢を諦めることができず、ノートルダムに向かって飛び出していくドリカム映画。展開がわかっていても泣ける。

 引き続き、松本大洋「Sunny」読む。ものすごく行間の深い物語のため、一話読んでは目を閉じ思考、を繰り返しているからなかなか進まない。進まないのが幸せなんだけれど。

 息子とサッカーの練習。チームでは相変わらず一番下手くそだけれど、一年前に比べたら格段に上手くなっている。その後、ランニング16キロ。

 年末年始休暇、最終日。目標をたてる、というのが今年の目標。

1月3日(日)

  • サマータイムマシン・ブルース スタンダード・エディション (初回生産限定価格) [DVD]
  • 『サマータイムマシン・ブルース スタンダード・エディション (初回生産限定価格) [DVD]』
    瑛太,上野樹里,与座嘉秋,川岡大次郎,ムロツヨシ,永野宗典,真木よう子,本広克行,上田誠,上田誠,瑛太
    ポニーキャニオン
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 5時起床。2016年映画初め(DVD鑑賞)は、読者のMさん推薦&貸していただいた「SUMMER TIMEMACHINE BLUES」。

 SF研の部室に突如現れたタイムマシーンに乗って、壊れたクーラーのリモコンを復活させようと大騒ぎ。半径5メートル「バック・トゥ・ザ・フューチャー」な感じですこぶる面白かった。これは誰が観ても楽しめる映画だろう。

 午前中、息子の少年団の親子サッカーに参加。2016年初蹴り。会場となっている小学校のPTA副会長で元浦和レッズの都築龍太が我らが親チームのゴールマウスに立つ。その都築がボールをキャッチしたので大きく手を振り、西川周作も憧れたという正確無比なパントキックを受ける。昇天。

 3ゴール、1アシスト。「ふつう、子ども相手にあんなに本気なるかね」と声が聞こえてくるが、都築の前で下手なプレイはできない。

 午後、実家に帰る。3年ぶりくらいに兄一家と会う。

1月2日(土)

 年末、映画の「ピンポン」があまりに良かったので、原作の『ピンポン』を読んだらさらによく、これは松本大洋の著作を読まねばと近場で一番大きな本屋さんのあるイオンモールに車を走らせた。さーて大人買いするぞとコミック売り場に向かうもなんと松本大洋の著作は一冊もないではないか。検索機を叩いても「お取り寄せ」表示ばかり。

 日頃、東京で働き、しかも毎日5軒、10軒の本屋さんを廻っていると欲しい本が手に入らないという気持ちがわからなくなってしまう。しかしこうやって長期の休みになり自宅で過ごしてみれば、やはり欲しい本は手にはいらないのである。

 ネットで本を買うという選択肢はないため、浦和に行けばあるだろうか、大宮のほうが確率が高いか、それならいっそ池袋まで行っちゃうか、でもそうしたら休みが一日潰れてしまうと悩みつつイオンモールを彷徨っていると、目の前にヴィレッジ・ヴァンガードを発見。

 そういえば『ピンポン』を探しているとき誰かにヴィレッジ・ヴァンガードに行けば絶対ありますよと言われていたようなことを思い出し、雑貨のジャングルをくぐり抜け、それらしい棚に向かうと、なんとそこには松本大洋の著作がずらりと並んでいるではないか!

 そうして『Sunny』『鉄コン筋クリート』『花男』と大人買いして帰ってきたのであるけれど、本日は『Sunny』を熟読。「ピンポン」に負けず劣らずすごい漫画だ!

 夜、塾通いでどうにも日中時間が取れない娘と浦和駅で待ち合わせし、調神社に初詣。

1月1日(金)

 あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 おせち料理もそこそこに味の素スタジアムに向かおうとすると息子が立ちはだかる。「一試合してから」とプレステ3のコントローラーを手にウイイレの挑戦状。仕方なくテレビの前に座るといつもはバルサで戦う息子がなぜかガンバ大阪を選択。

「おい、やめろよ!」
「天皇杯の予行練習だよ」
「ふざけんな。なにかあったらどうするんだよ!」
「大丈夫だよ、これはゲームなんだから」

 1対2でまさかの敗戦。

 不吉な予感をおぼえながら武蔵浦和駅のコンコース「ビーンズキッチン」で崎陽軒のシウマイ弁当とエビスビールを買い求めてから味の素スタジアムへ。ユキさん、片ちゃん、ウッチー、森川などとゴール裏に陣取る。

 14時15分を少し遅れて、キックオフ。

 2時間後、息子とやったウイイレとまったく同じ結果となる。「またかよ」と叫んで帰路につく。いつもどおりのサッカーを、いつもどおりのメンバーで、いつもどおりの相手に負けていく。おそらく数時間後にはいつもどおりの監督の言い訳が浦和レッズのホームページに掲載されることだろう。

 疲労困憊。誇りを失うと心底疲れる。20キロ、30キロ走ったときよりもふらふらだ。飛田給から新宿に向かわず、分倍河原、府中本町と経由し、座って帰宅。私の顔を見るなり息子が泣きだしたのでそっと抱きしめる。一緒に風呂に入り、塾帰りの娘を迎えにいく。

 誰も話しかけてこないのがありがたい。すき焼きをやけ食いし、録画で失点シーンだけ確認、20時就寝。人生で最悪の元日。

12月31日(木)

 大晦日。

 仕事は無事納まっているものの、なんだか気持ちは納まらず。今年ほど納得いかないこと不愉快なことの多い一年はなかった。そろそろ次の目標を見定め、卒業すべき時期なのかもしれない。44歳。そんなに時間はないのだ。尾崎豊の「卒業」をリピート再生しながら朝焼けラン。12キロ。

 朝イチで妻と川口の「角上魚類」へ自転車で買い出し。この時期は駐車場が満車の大渋滞となりとても車ではたどり着けないのだ。海のない埼玉県民にとってはここは港町の市場。超満員のなか寿司やらかまぼこやら購入し、前カゴ後ろカゴハンドルにぶらさげ帰宅。

 昼、実家に車を走らせ、換気扇を洗う。母親の作ってくれたサッポロ一番しょうゆ味と磯辺焼きを食した後、手製の伊達巻と黒豆をもらって帰宅。帰宅後は自宅の換気扇を洗う。油汚れを落とすのにこんなに苦労するなら毎月きちんと掃除すべしと思うのだが、そう思ったのは去年も一緒。ヘトヘトになってこたつに寝転がると息子がサンタクロースが届けてくれたウイニングイレブンをやろうとやってくる。2戦2勝。息子号泣。その息子と風呂に入り、顔を洗う。

 塾帰りの娘を駅に迎えに行き、蕎麦を作る。私以外は「角上魚類」で買ってきたお寿司を美味い美味いと言って食す。

 夜、妻と娘は「紅白」、息子は「笑ってはいけない」を観ているので、PCにDVDを入れ、映画鑑賞。

 現代の日本映画を語るには必見の作品と薦められた「冷たい熱帯魚」がまさかの『家族喰い』も真っ青な凶悪狂気事件映画とは...。しかも血やら暴力やらが大の苦手な私の目の前でたくさんの人が切り刻まれ、お笑いスター誕生であんなに優しかったでんでんが...。打ち震えているうちに2015年が終了す。

 ちなみに今年の秋、突然映画にハマった私が観たのはこの67本。◎は特に気に入ってDVDを購入した作品。

◎GO
◎桐島、部活やめるってよ
●仁義なき戦い
●仁義なき戦い広島死闘篇
●仁義なき戦い代理戦争
◎レスラー
●インファナル・アフェア
◎ザ・ブラス
●八日目の蝉
●シュリ
◎トレインスポッティング
●ショーシャンクの空に
●リトル・ダンサー
●戦場のピアニスト
●ライフ イズ ビューティフル
◎レザボア・ドッグス
●ダンサー・イン・ザ・ダーク
●息もできない
◎シーズンチケット
●麻雀放浪記
●ドクトルジバゴ
●母なる証明
●最強のふたり
◎(500)日のサマー
●ウォールフラワー
●エル・スール
◎殺人の追憶
●母なる証明
●トゥルー・ロマンス
●きっと、うまくいく
●6才のボクが、大人になるまで
●ディアハンター
●ライフ
●ザ・ライトスタッフ
◎ゴッドファーザー
◎ゴッドファーザーPART2
◎ゴッドファーザーPART3
◎ブルーバレンタイン
●ケス
●ONCE ダブリンの街角で
●キル・ビル
●エターナル・サンシャイン
●鉄コン筋クリート
◎イントゥ・ザ・ワイルド
◎パルプ・フィクション
●ドライブ
◎ブレイドランナー
◎ピンポン
●明日に向かって撃て
●ピアノ・レッスン
●ゼロ・グラビティ
●アンタッチャブル
●運命を分けたザイル
◎フットボール・ファクトリー
●ぼくのプレミア・ライフ
●アバウト・ア・ボーイ
●ザ・ロード
●アラビアのロレンス
◎レイジング・ブル
●ミリオンダラー・ベイビー
●レオン
●カッコーの巣の上で
●プラダを着た悪魔
●猟奇的な彼女
●ミッドナイト・ラン
◎スモーク
●冷たい熱帯魚

 初めて12時まで起きていた息子とくるまって寝る。

« 2015年12月 | 2016年1月 | 2016年2月 »