« 2015年7月 | 2015年8月 | 2015年9月 »

8月21日(金)

 朝ラン、6キロ。ここのところ週50キロペースで走れており、体調がすこぶるいい。今年も最も走るモチベーションが落ちる夏を乗り越えられた。

 9時出社。夏休み明けの浜田が出社した途端、まるでオオカミの気配を感じて虫の音が鳴り止むように注文の電話がぴたりと止まった。

 午前中、来週配布予定の売れ行き良好書案内と、この秋、発売予定の『古本屋ツアー・イン・首都圏沿線』のチラシづくり。

 昼は調布パルコの「さぼてん」でとんかつを食しながら、ワタル社長とアジア18カ国で自ら契約交渉しプレイし続けるサッカー選手・伊藤壇選手の『自分を売る(仮)』の編集打ち合わせ。

 それが終わって一路表参道へ。山陽堂書店さんで行われている「本の産直・夏まつり」を拝見。出版社が20社ほど学校の机のようなスペースに本を並べて売っている。

 帰社後、本日は神保町フライデーナイトクルージングを諦め、夜遅くまで投げ込みの目録作り。InDesignと格闘し、納得の仕上がりに大満足。

8月19日(水)

 通勤読書は、『私の息子はサルだった』(新潮社)。没後発見された原稿から編集されたものだが、これは佐野洋子版『岳物語』だ。自らの子どもの成長記であるとともに、子どもの目線を失わずに生きてきた佐野洋子だから表現できる文章とシーンの数々に、こみ上げてくるものがいっぱいだ。

 それにしても息子が生まれてから何度も「男の子ってわからないよ」と妻に言われてきたが、なるほど女性にはこうやって見えていたのか。これはわからんだろうな。

 佐野洋子といえば、神奈川近代文学館で企画展「まるごと佐野洋子展──『100万回生きたねこ』から『シズコさん』まで──」が開催されている(~9月27日まで)。これは行かねばならない。

 栗田出版販売の民事再生法申請や池袋リブロの閉店など出版営業マンの頭を悩ます大問題が勃発している2015年、次なる大問題は9月のカレンダーである。

 今年はなぜか21日(月)、22日(火)、23日(水)と祝日になっており、元来25日に向って新刊が大量に出て行く時期がすべて休みなのである。しかも9月は決算月で毎年新刊が多く、ただでさえ仕入れ窓口に行列ができたりするのに、この祝日だ。すでに仕入れ窓口では17日、18日、24日、25日の受け入れは「×」表記になっていたりするらしい。

 編集部に、今年の9月は「ごめん!ずれちゃった」が絶対できないからなと釘を刺す。

8月18日(火)

 昨日まで嬬恋へ三泊四日のサッカー少年団の夏合宿に行っていた小5の息子は休む間もなく今日も明日も熊谷へ遠征試合。ハリルホジッチ日本代表監督もビックリの過密日程だが、息子の守備位置はセンターベンチ(CB)でお尻の筋肉しか使わないため疲労はまったくないらしい。

 その息子を朝6時30分に集合場所である小学校に送り届けようとすると「パパじゃなくてママがいい」と言い出す。「なんだよ、パパのこと嫌いなのかよ」と詰め寄ると「パパは仕事だろ」と優しい言葉が返ってくる。それをそばで聞いていた妻が口を尖らせて「ママだって仕事だよう」と反論すると、「だってパパのほうが早く家を出るだろ」とママの手を握って階下へ降りていく。

8月17日(月)

 本日は浜本、浜田、松村、宮里が夏休みで、出社しているのは私と経理の小林のみ。いつ、お金持って逃げましょうと誘われるかドキドキしていたが、残念ながら誘われることなく終業。どうやら我が社には持って逃げるお金もないらしい。

 それにしても営業事務の浜田がいない日に限って電話注文鳴り止まず。書店さんもきっとこの日を待ち構えていたのだろう。

8月14日(金)

  • ライヴ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン
  • 『ライヴ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン』
    エリック・クラプトン&スティーヴ・ウィンウッド
    ワーナーミュージック・ジャパン
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS
  • ステーキを下町で (文春文庫)
  • 『ステーキを下町で (文春文庫)』
    平松 洋子,ジロー, 谷口
    文藝春秋
    638円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 スティーヴ・ウィンウッドとエリック・クラプトンの「ライヴ・フロム・マディソン・スクエア・ガーデン」を聴きながら出社。クラプトンというよりは、スティーヴ・ウィンウッドがマイ・フェイバリットなアーティストのひとり。がらがらの京浜東北線車中をごきげんに過ごす。

 休みたければいくらでも休んでいい、休めるもんなら休んでみろあとは知らんぞというのが本の雑誌社の夏休み基本方針なのであるが、本日は全員出社。

 来週は編集発行人の浜本は沖縄へ家族旅行、事務の浜田は愛媛に帰省するらしい。社内に貼りだしてある夏休み申告カレンダーを見ながら浜田が「だったら全員夏休みにすればいいんじゃない?」とジャイアン的発言をしたが無視。

 午前中は企画会議、午後はやっているか半信半疑で電話注文してきた書店さんが、電話に出たのを驚くなか日頃溜まっていたデスクワークに勤しむ。

 就業後は、金曜日恒例の神保町クルーズ......といっても今週は金がないので文庫本一冊。

「本の雑誌」で「そばですよ」を連載していただいている平松洋子さんの『ステーキを下町で』(文春文庫)。

「餃子の王将」めぐりで一話費やされているのだが、東武伊勢崎線で生まれ育った私には「餃子の王将」がこれほど持て囃される理由が正直よくわからない。餃子や大衆中華料理といえば、だんぜん「珍来」なのである。

8月13日(木)

  • アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)
  • 『アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)』
    昭如, 野坂
    新潮社
    572円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 津野海太郎さんの『百歳までの読書術』の注文を頂いた書店さんにいったんはお盆明けの搬入と答えたものの、よく考えてみたらいつ訪問しても忙しそうでなかなかご挨拶もできなかったり、お休みでお会いできずにいたりするわけで、ならばいるとわかっている今日直納すれば必ずお会いできるとひらめき、直納に向かう。

 その紀伊國屋書店横浜店さんでは、『世界の果てのこどもたち』(講談社)の中脇初枝さんと『朝顔の日』(新潮社)が芥川賞候補になった高橋弘希さんの選書も並んだ「戦後70年フェア」がどーんと展開されていた。

 映画は毎年見ているのに恥ずかしながら原作が未読だった野坂昭如『アメリカひじき 火垂るの墓』(新潮文庫)と内田百閒『東京焼盡』(中公文庫)を購入。

 帰宅後7キロラン。

8月12日(水)

  • ひとり飲み飯 肴かな (NICHIBUN BUNKO)
  • 『ひとり飲み飯 肴かな (NICHIBUN BUNKO)』
    久住 昌之
    日本文芸社
    682円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 ピークは過ぎたのではなかったのかと机をドカーンと叩きつつ、太陽照りつけ猛暑ぶり返すあぢあぢ地獄へ。今月の新刊『この作家この10冊』の見本を持って取次店さん廻り。いつもは列ができるほど混んでいる仕入れ窓口も本日はがらがら。というわけで日頃できない無駄話などに花を咲かせる。

 そうはいっても猛暑。帰社する頃にはへとへとのふらふら。しばし冷房にあたって休息を取りたいところだが、すぐにおじさん三人組の取材に駆り出される。角川春樹事務所。

 取材後、神保町を歩いているとちょうど「CRAFT BEER MARKET」がオープンするところに出くわす。いつも人気の繁盛店。悩む間もなく三人で飛び込む。

「うまいっすねえ」
 取材中、終始無言存在感をまったく消していた宮里が突然饒舌になる。

 一時間ほどで店を出て会社に戻ると事務の浜田がおかんむり。

「わたしだって飲みたかった!」

 こうなると手に負えないので浜田は宮里に任せ、這々の体で退社。

『ひとり飲み飯 肴かな』久住昌之(NICHIBUN BUNKO)を読みながら帰宅。ほろ酔いにはピッタリ。

8月10日(月)

 どうやら猛暑のピークは過ぎ去ったようだ。暑いことは暑いけれど生死を彷徨う暑さではなくなった。

 しかし、朝、御茶ノ水駅に着くと同時に雨が降りだす。傘はない。まあどうせ乾くしと雨の中歩き出す。すると途中で土砂降りに。びしょびしょになって社内に駆け込むと一足先に出社していた浜田(雨に降られていない)が驚く。

「すげえ、雨だよ」
 そう言って外を見ると光が差している。
「雨なんか降ってないじゃないですか」
 続いて小林、浜本、松村と出社。
「雨、大丈夫でした?」
「えっ! 雨? そういえばアスファルトが濡れてましたね」
 どういうことだ。

 週末に予約した大相撲9月場所のチケットを発券しにセブン・イレブンへ行く。両親が死ぬ前に一度観てみたいと言っていたので親孝行のふりをしているが、実は自分も一度は観てみたかったのだ。13日目のマス席をゲット(同日発売の佐野元春のさいたま新都心ライブは取れずに撃沈。号泣)。

 当日は相撲を見た後、山口瞳が師である高橋義孝先生と歩いた道を歩き、これも山口瞳のコースにならい並木藪蕎麦へ向かおう、そうすれば東武伊勢崎線の始発に乗って両親は帰宅できると考えグーグルマップを眺めるも、両国から浅草がちょっと遠い。私は大丈夫だとしても70歳を越えた両親にはキツかろう。

 若かったとはいえ山口瞳も高橋義孝先生も健脚だったんだなあと思いつつ、先日小宮山書店のガレージセールで単行本を買い直し会社に置きっぱなしだった『行きつけの店』(TBSブリタニカ)のページをめくると、その頃は両国国技館ではなく、蔵前国技館だった。

 金曜日から「絶対客注の電話が鳴り続けるよ」と予想していた津野海太郎著『百歳からの読書術』の電話注文が予想通り朝から鳴り続ける。日曜日の朝日新聞に三八広告を出稿したおかげ。新聞は読まれていないわけではなく、ある年齢層には相変わらず圧倒的な影響力を持っているのだ。

 三省堂書店のUさんと「SANKOUEN」でランチした後、営業へ。本+カフェ+雑貨の融合店というのが増えているが、売り場はがらがらだけれどカフェは満員というお店をよく見かける。ならばカフェだけやったほうが儲かるのでは?と思うのだけれどあれは本や雑誌があるからお客さんがコーヒーを飲みたくなるのだろうか。もしそうならばドトールやらスターバックスに「ものすごく集約力がアップするんです」と営業に向かうべきなのではないかと思いだす。

「本の雑誌」9月号搬入。

8月7日(金)

 午前中、神保町の三省堂書店さんへ。芥川賞受賞作『火花』と『スクラップ・アンド・ビルド』の二作が掲載された「文藝春秋」が発売となり、朝からバカ売れの様子。

 今号は別途、特装版も出ており、こちらには特別付録として「芥川龍之介追悼號」の復刻版がついているのだが、なんとこの特装版は、取次店日販さんのプライベート商品になっているらしい。日販が開発し、他の取次店に卸しているとか。なんだか新しい動きと思っていたら、今度出るとある話題書は、大手書店が初版部数の9割を買い取り、他の書店に卸すという。これまでにない展開。

 打ち合わせを終え出てきてすぐそこ駿河台下の三茶書房の300円均一の外売りワゴンで、『旧聞日本橋』長谷川時雨(岩波文庫)を見つける。見つけるといっても探していたわけでなく、ずらずらと並んだ背表紙のなかから目に飛び込んできた。「これオレの好きなやつだ」と手を伸ばし、ページをめくると間違いなく私の好きなタイプの街と人を克明に書き写した随筆集。すぐに帳場へ。

 久しぶりに「めんめん かめぞう」の「新博多とんこつ」を食したのち、花小金井のよむよむさんへ。リブロのYさんが池袋から異動しており、しばしお話。それにしても花小金井に住んでいる人は幸せだ。これから日本一の書店員さんが売り場を作るのだから。そして何よりもこのお店で働いている人が羨ましい。Yさんの下で働けるんだもの。思わず土日のアルバイト募集の貼り紙がないか確かめてしまった。

 就業後は、金曜日恒例の神保町クルーズ。といっても酒場ではなく、本屋と古本屋とCDショップめぐり。週末と来週読む本やCDを購入。

 早速帰りの電車で買ったばかりの『痴者の食卓』西村賢太(新潮社)を読み出す。

 NHKのテレビ番組「ようこそ先輩」に出演したときの様子を綴った「夢魔去りぬ」以外は、西村賢太の私小説の王道「秋恵」ものの短篇集。帯に「貫太、反省す」とある通り、確かに貫太は随所で反省しているのだが、その反省から激怒に変わっていく心情に拍手喝采。そしてこれまでにない秋恵のおかしさに吹き出してしまった。帰宅後、買ってきた本ではなく、『疒の歌』再再再読。

8月4日(火)

  • Groovism
  • 『Groovism』
    THE GROOVERS
    SPACE SHOWER MUSIC
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

 5時起床。ランニング7キロ。

 先日『聖の青春』を読み、そういえば読んでなかったと大崎善生の『将棋の子』(講談社文庫)を読む。すっかり電車を乗り過ごし、新橋で降りる。目は充血。

 午前中、今更ながら取次店さんにお盆休みの確認。注文書作成と各所に新刊登録。

 午後、営業に出かける。もはや外にいるだけでハイタッチに熱烈抱擁の賞賛を浴び、表彰状を授与されほどの環境なのに、これで本を売れとはどういうことだ。電車に乗ったら二度と降りれない。夕方、某氏と新刊の企画の打ち合わせ。

 夜、THE GROOVERSの『Groovism』を聴きながら帰宅していると、京浜東北線が乗り換えのひと駅手前の蕨駅でしばし停車。乗車していたのが南浦和行きだったので、5分ほどで発車したのだが、まさかそれが大惨事の始まりだったとは気付かず。もう十数分会社を出るのが遅かったら、私の帰宅はいったい何時になったのだろうか。一年分の運を使い果たした気がする。サマージャンボは当たらないだろう。

8月3日(月)

 朝起きたときには近年稀なやる気に満ち溢れ、本日は100軒くらい本屋さんを廻って1万部くらい注文が取れるんじゃないかと身震いしていたのだが、会社に着いた時にはすっかり消えていた。やる気はどうやら熱に弱いようだ。30度を越えると蒸発していくらしい。

 そうはいっても営業。歴史的大ベストセラーとなった『火花』はあったりなかったり。100万部に達しても書店店頭に行き渡らないとは恐ろしい。

 夜、三省堂書店の地下「放心亭」にて某打ち合わせ。

« 2015年7月 | 2015年8月 | 2015年9月 »