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7月30日(木)

 10代の頃、まさか自分が163センチのまま44歳を迎えるとは思わなかった。

 せめて172センチくらいになり、多くの人から見下ろされることもなく、そして見上げることもなく、生きていけると信じていた。
 しかし44歳になった今、多くの場合で見下ろされ、また見上げ、私は生きている。

 大崎善生『聖の青春』(角川文庫)再読。何度読んでも泣ける。何度読んでも胸が掻きむしられる。これから毎年誕生日に読もう。

7月28日(火)

 土、日、月と娘が所属しているサッカークラブの夏合宿に帯同し群馬県の草津温泉へ。宿の亭主も驚いていたが、三日間雨一滴降らず快晴のなかサッカーができたのは喜ばしいことなのだが、サラリーマンとしてありえないほど日焼けしてしまう。あまりの恥ずかしさに営業に出られず、デスクワークに勤しむ。

 社内では相変わらず冷蔵庫を購入するか話し合われている。すでにこの話し合いも3年目。さすがにこの暑さで、冷蔵庫導入反対派の浜田も「アイスコーヒー飲みたいよねえ」と軟化し、置き場所を作ったら買ってもいいと許しを出す。

 ちなみに浜田が冷蔵庫導入に猛烈に反対しているのは笹塚時代に目黒さんが残していった冷蔵庫(の中身)を処分するのに非常に苦労したからである。目黒さんのせいで我々は3年間も冷たいものが飲めず、アイスも食べられずに夏を過ごしているのだ。目黒さんを嫌いになっても、冷蔵庫は嫌いにならないでください。

 夜、ふらふらになって帰宅。中上健次『枯木灘』(河出文庫)を手にするが、気づけば扇風機の前の床で寝ている。

7月23日(木)

 芥川賞受賞を受けての『火花』大量重版分が書店に入荷(80万部帯)。並べるそばからというか運んでいるそばからお客さんが手を伸ばし購入されていく。書店員さんも「村上春樹以来かそれ以上ではないか」と驚きつつ微笑む。しかも自著だけでなく、『教団X』『告白』『コインロッカー・ベイビーズ』『人間失格』に西加奈子の各著作など薦めたものまでみんなベストセラーとなる又吉直樹フィーバー。空前の読書アイドルの誕生に、うちの本も薦めてくれないだろうかと「神様春樹様直樹様」と祈る。

7月22日(水)

  • BLOOD MOON(初回生産限定盤)(初回限定ボックス盤)(CD+DVD)
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    佐野元春&THE COYOTE BAND
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 佐野元春の2年ぶりの新譜『BLOOD MOON』が届く日なのでここは音楽休暇を申請し(ほかにサッカー休暇と読書休暇があるらしい)、会社を休んでじっくり聴き込もうと思ったのだけれど、午前中にアポがあったはずと泣く泣く会社に行くも、待ち人が来ず。メールを確認すると明日だった。

 猛暑のなか営業。
 お店を訪問して来店客数が減っていると嘆かれるようになったのはいつ頃からだっただろうか。2年前か、3年前か。「本が売れない以前にお店に人が来ない」。確かそんな風にささやかれだしたのだ。

 いつかたぶんこの日記にも書いた気がするけれど、確かに言われてみればまるで午前中の郊外の百貨店のように売り場には店員さんと私しかいないことがある。そして過去の賑わっている店内の風景を思い出し、ゾクゾクと背筋が凍るような気がしたのだ。

 先日訪問した、本屋といえばここという有名なお店の店長さんも来店客数が減っていると話していた。「いい棚、いい品揃えをするのは当然なんですけど、それ以前に店に人を呼ぶ何かをしないといけない」と。

 これまで本屋さんといえばシャワー効果とまで言われるほど、何もしなくても人が集まる場所だった。それがついに人を呼び込まなければならない場所になってしまった。

 人を呼びこむと言えば多くの書店さんが取り組んでいるようにイベントになるのだけれど、そのイベントも当日だけの集客で、なかなか通常時のお客さんが増えていかない。そしてイベントに関わる業務で書店員さんが疲弊していっている。

 出版社の営業もこれまで書店さんに並べてもらうのが主な仕事だった。いやそれこそが仕事だった。しかし来店客数が減っている今、どれだけお店に並べても人が来ないのでは本は売れない。だから、お店に本を買いにいく前の部分が営業の仕事として重要になってきているのだけれど、予算が使えるわけではないからどうしたってネットでのプロモーションが多くなる。結果としてそれが本屋さんの来店客数を増やすこと以上に、ネット書店の売上比率をあげているという循環になっているような気がする。

 いろいろとやるしかないけれど、今、本が売れるイメージがもてない。

 帰宅。無事届いていた『BLOOD MOON』をiPodに入れ、ランニングへ。一聴めは走りながら聴くと決めていたのだ。幸福。

 こういう幸福を私は届けられているだろうか。

7月21日(火)

 朝、出社してすぐ携帯が鳴る。画面にはリブロの矢部さんの文字。てっきり明々後日、最終日に一日中密着取材せていただくことになっているので、その待ち合わせ場所の相談かと思いながら電話に出ると、いつもと変わらぬ口調で注文の電話だった。

「『本の雑誌』売れてるんだよ。田口さんのPOPのおかげだね。どうする?」
「ありがとうございます。すぐ持っていきます」
「あと4日だから無駄になっちゃうかもしれないけど、ワゴンでやる?」

 ワゴンでやるほどの在庫が社内にないのはわかっていた。けれど断るなんて考えもしなかった。

「ぜひお願いします。パネルも作ります」
「じゃあ100お願い。ありがとうサンキューね」

 電話を切るとすぐ倉庫に電話し、40分後に取りに行くからと社内在庫の不足分80部を用意してもらう。

 倉庫がある瑞江駅に着くと土砂降りだった。参ったなあと雨が跳ねる足元を見つめていたら、倉庫会社の社長さんが、完全梱包した「本の雑誌」を車で駅まで持ってきてくれていた。

「お、おひとりですか?」
「はい」
「重いですよ」
「大丈夫です」

 そうは言ったものの80冊の「本の雑誌」はあまりに重い。「いち、に、さん、し......」20歩数えては、持つ腕を変える。

 いったん会社に運び込み、納品伝票を書き、ちょうど出社してきた助っ人アルバイトとリブロへ向かう。

 リブロにはいつもと変わらぬたくさんの人が訪れていた。売り場もいつもどおりだった。ひとつだけ違うのは、エントランスにあるたくさんのさよならメッセージをスマートフォンで撮る人たちがいることだ。

「着きました」と電話を入れようとしたところ、目の前に矢部さんがいて、携帯電話で何やら話し込んでいる。

「ごめんね。あと4日なんだけど、やっぱり足りないんだよ。えっ、ほんと? ありがとう、サンキューね」

 今朝、私に電話した後も矢部さんは注文し続けていたのだ。そして、私だけでなくその注文に応える営業マンが続々と直納にやってきている。

 あと4日なのに......。
 もう閉店するのに......。
 どうしてそこまで......。

 その答えを知るために最終日、僕は矢部さんの隣にずっといる。

★   ★   ★

 とここまでは先週金曜日に更新しようと書いた日記で、昨日の月曜日はここに記したように、リブロ最終日の矢部さんに密着させていただいた(密着するはずが、矢部さんは一日中まったく歩みを止めず、ずいぶん振り切られてしまったのだが...)。

 その御礼方々、浜本とふたり池袋へご挨拶へ伺うとすでに通路とパーティションで仕切られ、パーテンションの内側では慌ただしく閉店作業がされているのであった。昨日はここが立錐の余地もないほど混雑し、多くのお客様がたくさんの本を抱え、レジに行列を作っていたのに...。

 浜本とは池袋で別れ、新宿へ移動。紀伊國屋書店さんに40周年記念で飾って頂いていたポスターやら荷物を受け取りに行く。

 そのまま営業に出ようと思ったものの、心も身体もくたくた。もう一歩も歩けない...ということで会社に戻る。

 津野海太郎『百歳までの読書術』搬入。

7月10日(金)

 服部文祥『ツンドラ・サバイバル』(みすず書房)読了。傑作、必読。

 サバイバル登山も狩猟も服部文祥氏のなかで当然となった今、浮かび上がってきたのはとてもシンプルなものだった。それは「生きる」ということだ。死に対しての生でもあり、いかにこの世を生きるか、生きるとはいったい何か、だ。

 本書『ツンドラ・サバイバル』では矛盾も欺瞞も打算も家庭もさらけ出し、2010年から2014年までのサバイバル登山行のなかで、それらについて考えたことが素直に綴られている。

 特に白眉なのは、表題にもなっており、NHKBSプレミアムで放映されたロシア・チェトコ半島を旅した「ツンドラ・サバイバル」。その広い大地で運命を感じさせるトナカイ遊牧民ミーシャとの出会いは、珠玉のような旅を産む。

 2006年に『サバイバル登山』を読んだ時にはまったく考えもしなかったけれど、『ツンドラ・サバイバル』を読んでいると、まるで植村直己や星野道夫の本を読んでいるときのような気分になる。いかに「生きる」のか、問われている。

★   ★   ★

 とある書店さんで「アメトーーク!」で紹介されヒットしている『教団X』の話題になったところ、「Amazonのレビュー見ました?」と訊かれる。

 未確認だったので会社に戻って覗いてみると、「アメトークで絶賛されていて期待しながら読んだのですが、全然でした」やら「テレビで紹介されてたみたいですが、この人の作品が好きな方以外は、読まない方が良いと思います」といった一つ星の厳しいコメントが並んでいた。

 そういえば紹介されてすぐ店頭から在庫が消えたときに、別の書店員さんが「いつも本を読んでいない人があれを読んで本を好きになってくれますかね...」と心配していたのだ。

 本を紹介するのは難しい。個人のブログやメルマガなら紹介者の趣味を理解した人が読むからただ好きなものを紹介すればいいし、友だちに紹介するなら相手の興味を知っている。でも雑誌やテレビではその媒体につく読者や視聴者を意識しないと今回のようにミスマッチが起きる。

 まあでもミスマッチが起きてもいいんじゃなかろうか。この作家は自分に合わないと思えるのもその本を読んだからこそで、次から読まなければいいわけだ。またこの書評家(この場合は芸人)の薦める本は私に合わないと分かれば、これからその人が絶賛する本を手にしなければいいだけのことだ。そのひとつひとつの積み重ねが、自分の趣味を見つけることに繋がるはずだ。

 本はそんなにちっぽけじゃない。いっぱいある。一生かけても読みきれないほどある。失敗して、失敗して、一冊の大好きな本を見つけたときの喜びは、海底に沈む財宝をすくい上げたようなもの。それに今読んでつまらなかった本が10年後にめちゃくちゃ面白く感じることもある。もちろん10年後に読んでもつまらない本もあるけどね。ただ、つまらないと感じる心があるなら、きっと面白いを見つけられる。

7月9日(木)

『謎の独立国家ソマリランド』を編集営業することで多くの達成感を得た後、ふたつの目標を立てた。

 ひとつは社会的に役立つ本を作るということで(もちろん商売になるのは大前提)それは今年2月に出版した中国新聞取材班著『猪変』で達成できたように思う。これまで存在しなかったジャンルの本を作り、多くの新聞や専門紙で紹介してもらうことができた。もうひとつの目標は「10万部を越えるベストセラーを作る」ということだ。

 今そのプロジェクトが動き出している。先日朝日新聞のひと欄でも紹介されたアジア18の国と地域でプロサッカー選手として活躍されている伊藤壇選手の本作りである。その打ち合わせのため調布に向かい、フリー編集者兼高野秀行さんのIT顧問ワタル社長と打ち合わせをする。

 ワタル社長はさすが高野さんの無理難題をいつも引き受けているだけあって、ものすごくクレバーで明晰である。そして何よりも人がいい。人がいいから高野さんの無理難題を引き受けているわけだが、打ち合わせしていて気持ちいい。

 その後、営業。
 直帰して川口のメディアセブンへ向かう。宮田珠己さんの「迷路のような温泉旅館を楽しむ 」というトークイベントを拝聴す。

 写真をスクリーンに映しながら進行するものの、どうやら写真では迷路感がまったく伝わらないようで、会場にはたくさんクエスチョンマークが浮かんでいる。

 帰宅後、塾に娘を迎えに行く。雨が降ると忙しい。

7月8日(水)

 朝、起きたときから小5の息子がぶつぶつと独り言をつぶやいていた。耳をそばだてて聞いてみると「この枕とも3日間お別れだ」「このスリッパとも3日間お別れだ」「このテレビのリモコンとも3日間お別れだ」とすべてのものに別れの挨拶を繰り返している。そういえば息子は今日から二泊三日で林間学校に行くのだった。

 大きなバッグを肩に下げると「この玄関とも3日間お別れだ」と言って、息子は出かけて行った。
 なぜか「パパとも3日間お別れだ」という挨拶はなかった。

7月6日(月)

 村上龍『オールド・テロリスト』(文藝春秋)読了。『愛と幻想のファシズム』や『半島を出よ』『五分後の世界』に通じる、久しぶりの村上龍らしい作品に読了後しばし胸が熱くなる。キング・カズがボールをまたぎ、ゴールを決めたらカズダンスをするように、村上龍はやっぱりこうでなくちゃならない。面白い小説を読みたいという人にすすめていいのかはわからないけれど、とにかく村上龍の小説を読みたいという人には絶対のおすすめ。

「本の雑誌」部決。ちょうどそのとき債権者説明会を開催している栗田出版販売さんにも電話。

 その後、リブロ池袋本店さんにおそらく最後になるであろう直納。

 夕方、会社に戻り、倉庫会社と初期在庫の覚書をかわす。これにてゴールデンウィーク開けから続いていた物流倉庫倒産・移転問題はすべて終了。迅速で間違いの対応をしていただいた倉庫会社と紹介してくれた140BのAさんに感謝。

 夜、デスクワークしていると「かもめブックス」のYさんから飲みませんかと電話。OKしているところに、KADOKAWAのブルドーザー営業マン・ヘンミーが『GIVER』『BABEL』の著者日野草さんや編集者とともにやってくる。三省堂書店さんにサイン本を作りに来た帰りらしい。それにしてもいきなりこんな零細出版社に連れて来られてもわけわからんだろうにと思いつつ、今月遊びに来た人をパチリ。

 ヘンミー御一行様が帰ったあと、かもめブックスYさんがやってきて「酔の助」へ。目標にブレのないYさんの話はいつ聞いても刺激的でモチベーションが上がる。あっという間に3時間が過ぎていた。

7月3日(金)

 東京国際ブックフェアを覗く。覗くといってもビッグサイトでやっているわけだからわざわざ「ゆりかもめ」に乗って行くのだけれど、「ゆりかもめ」に乗るとどうもワクワクしてしまう。

 しかしブックフェアにはほとんどワクワク感はなく、ここ数年元気のあった電子書籍のブースもなんだか閑散としていた。来年からは金土日開催の読者向けイベントとして生まれ変わるらしい。

 その後、営業。
 
 金曜日の夜、週末の予定を考えながら本屋さんで本を買うのが楽しみだ。今週は浦和レッズがないから2冊?3冊?読めるかななんて考えながら棚を物色する。営業時にアタリを付けていた新刊からずっと気になっていた既刊など目次やら表紙やら帯やらを背表紙やらを見、これは来週でいいかとかもう少し待てば文庫になるかなとか考えながら棚から棚に移動する。もちろん読んでない本は山のように家にあるのだけれど、本を選ぶことこそ読書の醍醐味のひとつ。

 財布の中身と相談しつつ、村上龍『オールド・テロリスト』(文藝春秋)と服部文祥『ツンドラ・サバイバル』(みすず書房)を購入。
 至福。

7月2日(木)

  • コルシア書店の仲間たち (文春文庫)
  • 『コルシア書店の仲間たち (文春文庫)』
    須賀 敦子
    文藝春秋
    550円(税込)
  • 商品を購入する
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    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 リブロから封書が届く。
 開封せずに机のなかにしまう。
 なかを見なくてもなにが書いてあるかわかっている。書いてあることを信じたくない。

 もし私に出版業界に入った意味があるとすれば、それは『書店風雲録』を世に出したことだろう。いや私が生まれた意味と言い直してもいい。家族には私が死んだら棺桶に入れてくれと言ってある。

 残り19日となったリブロ池袋本店では、西武ブックセンター時代も含めてこのお店で本を並べ、お客さんに届けてきた書店員さんが選んだ本のフェアが展開されている。先日訪問した際、その中から須賀敦子の『コルシア書店の仲間たち』(文春文庫)を購入した。本を選ぶ喜びを、本屋というものの面白さを、このお店が教えてくれたのだ。

7月1日(水)

 5時起床。

 早朝読書を始める前にネットをつなげると、「出版状況クロニクル」が更新されており、その冒頭に記されている「15年5月の書籍雑誌の推定販売金額は前年比10.7%マイナスという大幅減」という文字に衝撃を受ける。

 信じられないけれど、確かにどの書店さんも5月はひどいと言っていたし、電車に乗ればほぼ全員がスマホを取り出す時代、すっかりみんな本や雑誌の存在を忘れてしまったかのようだ。参った。参ったけれど、降参するわけにはいかない。

 ファイティングポーズをとっての早朝読書は、お笑い芸人の又吉直樹が落ちたことばかりが報道された第28回三島賞受賞作『私の恋人』上田岳弘(新潮社)。

「私が一人目のクロマニョン人だった頃」なんて文章を読むと、松鶴屋千歳の「俺がむかし夕焼けだった頃、弟は小焼けで」を思い出し、よほどこちらのほうが芸人なのではないかと思ってしまったが、『私の恋人』はクロマニョン人の生まれ変わりの、収容所に捉えられたユダヤ人の生まれ変わりの、三周目の私が主人公の、時も空間も超えた人類の文明を描く壮大な物語である。

 まさにこれぞ小説だからできる表現であり、読み終えたときには思わず拍手喝采! スタンディングオベーション! 芥川賞とのダブル受賞決定だ! と思ったらなんと候補になっていなかった。えっ?!

 午前中は「本の雑誌」の企画会議。午後はやる気を振り絞り、デスクワーク。

6月30日(火)

 4時50分起床。早朝読書は、古本屋でリーチ一発ツモした小林信彦著『夢の砦』。椎名さんの『銀座のカラス』を読んだ時の興奮を思い出す。このなかで描かれるテレビの部分をネットに置き換えればそのまま現代の出版業ではないか。そして要所要所で語られる雑誌に対する思いやウンチクに激しく共感を覚える。あまりに面白く、会社に行く気が失せてしまう。これが早朝読書の難点だ。

 しぶしぶ出社するもののやる気は皆無、営業に飛び出す。以前から訪問してみたかったららぽーと富士見のリブロさんとBOWLさんへ。平日なのに人出は多く、駐車場は一階と二階に「満車」の文字。

 埼玉を営業した後、直帰。

 小5の息子が浦和レッズの試合に連れて行ってくれとうるさいので、7月19日のサンフレッチェ広島戦のチケットを購入す。しかし本当に連れて行っていいのか大いに悩む。

 息子をスタジアムに一度だけ連れて行ったことがあるのだけれど、あれは物心が付く前だった。息子はほとんど試合を見ずにDSをやっていた。今はサッカーが心底好きなようだし、テレビで浦和レッズの試合を見、先日優勝を決めた神戸戦での阿部勇樹の叫びに「チョーカッケー」とつぶやいていたので、きっと今回連れていったら浦和レッズに夢中になるだろう。

 本当にそれでいいのだろうか。ひとつのチームを愛するということはいいことばかりでなく、苦しいことのほうが多い。それはいつかどこかに書いたけれど、もうひとつ人生を背負い込むのと一緒だ。できれば息子には幸せになってほしい。

 一度出したチケットを財布に戻す。ランニング7キロ。

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