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7月30日(水)

『放っておいても明日は来る』のメンバーで生物資源会社を経営している二村聡さんが、一年一カ国をモットーにアジア17カ国でプロサッカー選手としてプレイしている伊藤壇選手を連れてくる。生のサッカー選手と対峙する機会などそうそうあるわけがなく、まるで乙女のようにあがってしまう。

 夜、青山ブックセンター本店にて『ROADSIDE BOOKS』刊行記念、都築響一さんと大竹伸朗さんのトークイベント立ち会い。

 その合間に店内をふらふらしていて『大坊珈琲店』大坊勝次(誠文堂新光社)という本を見つけ、驚く。この本は、表参道交差点近くにあった喫茶店の閉店時に作られた私家版を改訂されたものらしいのだが、なんとなんとその一部が活版印刷で刷られているのだ。その美しさたるや...。

 音楽ではアナログレコードが人気になっているけれど、そのうち本も活版版と通常版と電子書籍版なんて形態で販売されたりして。誰の本だったら活版判で欲しいだろうか。

 どうにか日付が変わる前に帰宅するが、家族は寝ており誕生日を祝うイベントはなし。昨年の誕生日が幸せ過ぎたのだ。
 43歳のはじまり。

7月29日(火)

  • 山の仕事、山の暮らし (ヤマケイ文庫)
  • 『山の仕事、山の暮らし (ヤマケイ文庫)』
    高桑信一
    山と渓谷社
    1,045円(税込)
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 地方小出版流通センターの情報誌「アクセス」の巻頭に掲載されていた「北海道いい旅研究室」創刊15周年秘話の「航海と後悔と『こーかい?』の日々」を読んで胸を熱くする。

「本の雑誌」のような旅雑誌を作ろうとレイアウト、文章、写真撮影、広告営業、書店納品まですべて一人で行った舘浦海豹さんが、創刊号ができあがってはたと気づいたのは「完成した本をどう売りさばくか?」ということだった。

 さてどうしたのか?

 なんと恐ろしいというか、型破りというか、こんなバカ者見たことないというか、出来上がた創刊号には「置いてくれたらうれしい書店一覧」というのを掲載していたそうで、その書店さんを訪問してはそのページを開き、「こんなわけなのです」とお願いして歩いたそうだ。

 信じられない!と驚いたのは私だけでなく、その時訪問された書店さんだろう。しかし北海道の書店さんは心が広い。最初に訪問した本の店岩本では店長さんが笑ってページを見つめ、持参した50冊の倍100冊の注文をいただき、アテネ書房では1冊進呈し面白かったら注文してくださいと言うと、その場で店長さんが購入してくれたという。

 その他のお店での顛末も書かれているのでぜひ機会があれば読んでみてもらいたいのだけれど、私が胸を熱くしたのは自分もまたそうやって本屋さんの懐で育てられてきたからだ。

 営業。
 本厚木の有隣堂さんでは毎年恒例の「あつ100」フェアが開催されていた。こちらはスタッフの皆さんと版元の営業が選んだ夏の文庫100冊を展開。なぜか私も参加させていただいており高桑信一の『山の仕事、山の暮らし』(ヤマケイ文庫)を並べていただいている。

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 夜、昨日急にミシマ社のWさんから誘われた飲み会へ。高円寺「ペリカン酒場」。行くまでは昨日今日と連チャンで億劫だったのだけれど、同席された大阪屋のKさんとマルノウチリーディングスタイルのKさんと本と本屋と流通の話を思う存分していたら、あまりに楽しく思わずやめている酒を飲みそうになってしまう。

 やっぱり人に会わないと何も始まらない。

7月28日(月)

  • 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
  • 『走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)』
    村上 春樹
    文藝春秋
    572円(税込)
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 通勤読書は村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』(文春文庫)。再々再々読くらい。走るモチベーションが下がった時この本を読むようにしている。暑いのでね。読むたびに心に響くセンテンスが変わっていき、いつの間にか本のあちこちが真っ赤になっている。そしてその度にもしかして村上春樹を読める体質になったのではないかと別の本を手に取るが今回もダメだった。

 週末パティシエは、ただいま猛暑のためオーブンの使用が禁止されているため、金曜日に「オーレオーレ」で食べて美味しかったパンタコッタ(たぶん)に初挑戦。上手くできたがオーレオーレに比べるとコクが足りない。レシピを聞きに行く予定。

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「本の雑誌9月号」と8月の新刊『この子オレの子』中場利一著を印刷所に発注。今月いっぱいで担当者が代わるため、これがMさんへの最後の発注。いつもGOOD JOB!な担当だったので淋しい。

 昼食に出ようとすると高野秀行さんから電話。用事で神保町にきているというので三省堂書店の地下にある放心亭へ。『謎の独立国家ソマリランド』の8刷を祝して乾杯(高野さんはビール、私は水)。

 会社に戻るとカネコッチから『謎の独立国家ソマリランド』の重版分の奥付と新帯のデザインが届く。確認して入稿。
 その後、営業に出かける。先週に比べるといくらか涼しく、営業も捗る。

 夜、良文堂書店さん主催のガチンコフェア商品発表会のためお花茶屋のレストラン「ポアロ」へ。30名近い版元営業が集まる。歌う人、漫談をする人、茶々を入れる人などなど、営業に正解はないというのがよくわかる。ノンアルコールビール1本、コーラ2杯。

 22時、一足先にお店をでる。ここから帰る時いつも日暮里に出て京浜東北線に乗り換えるか、関屋から牛田で東武伊勢崎線で新越谷を目指すか悩む。ずっと前、北総線経由で武蔵野線を目指し痛い目にあったのだ。今夜は久しぶりに東武線に乗ってノスタルジーに浸る。23時30分帰宅。長友の体幹トレをしてから風呂に入る。合宿帰りの娘が真っ黒になっていた。

7月15日(火)

 都内某所で行われた某書店員さんの講演に潜り込む。
 1991年の入社以来の書店の状況を「何もしないでも売れた時代から何かすれば売れた時代になり、いまは何をしても売れない時代」と説明されたのが、胸に迫る。

7月14日(月)

 W杯も終了し、心はすっかり初秋なのだが、外に出ればくらくらの猛暑。

 通勤読書は、小斎秀樹『浦和レッズ敗戦記』(文藝春秋)。アジア・チャンピオンから一気に転落していった2008年シーズンを追ったノンフィクションで、出た当初(2009年)に購入していたものの、あまりの生々しさに読めず積読していた。しかし先週行われた山田暢久引退試合でみんながあまりに楽しそうにサッカーをしていたので、ついにひも解く。

 でもやっぱり苦しい。
 万博記念公園で行われたガンバ大阪戦の試合後、目の前で都築とセルヒオがケンカしだしたのをありありと思いだす。もう二度とあんなチームになってはいけない。
 J1リーグの再開が待ち遠しい。

 午後、自由が丘にて書籍の企画の打ち合わせ。
 十年前から構想していた企画なのだが、どなたに依頼していいかわからず時間だけが過ぎていたのだが、先週、突然ぴったりの書き手が思い浮かび、本日はじめての打ち合わせとなる。

 その後、営業。
 帰宅後、長友も体幹トレ1時間、汗だくになって風呂に飛び込む。

7月4日(金)

 来週、都築響一さんのイベントを行う代官山蔦屋書店さんから追加注文があり、『ROADSIDE BOOKS』の直納に向かった。

 雨に濡れぬよう気をつけながら担当者に本を届け、お店をあとにようとしたとき、ひとりの女性が自動ドアの向こうに立った。ドアが開き、お店に入ってきたその瞬間、女性の顔にぱっと笑顔が広がるのを私は見逃さなかった。女性は一歩、二歩、歩みを進めるとくるりと首を回し、平台にあった雑貨と本を手にした。うっとりするような表情で浮かべ、ページをめくり始める。

 ここはいったいどこなんだろうか。

 踵を返して店内をうろついてみる。すると先ほどの女性だけでなく、多くの人の顔に笑みが広がっているのに気づいた。

 そういえば蔦屋書店だけではない。恵文社一乗寺店、スタンダードブックストア、マルノウチリーディングスタイル、オリオンパピルス、私が知っている限りでも、これらのお店には魔法をかけられたような表情を浮かべるお客さんがいっぱいいる。

 どこでも買えるならネットで買うのが便利という人たちと、どこで買うかを大切に考えている人たちがいる。

 魔法にかけられた私も『写真集 島の美容室』福岡耕造(ボーダーインク)を購入してお店を後にした。

7月3日(木)

 カネコッチと夜遅くまで電子書籍作り。
 不思議なことにまったく物を作っている気分にならない。

7月2日(水)

  • Number(ナンバー)コロンビア戦速報&ベスト16速報
  • 『Number(ナンバー)コロンビア戦速報&ベスト16速報』
    文藝春秋
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 午前中、「本の雑誌」の企画会議。

 会議といっても、もうずっと私以外誰も企画を出さないので、一ヶ月の間に私が考えた何本かの特集案からどれをやるかを決め、肉付けしていく作業。

 要するにここ何年かの「本の雑誌」および「別冊本の雑誌」の企画は、ほとんど私が考えているということ。つまらなかったら私のせいです。ごめんなさい。

 本日は来年4月に迎える40周年記念の企画も含め、2時間みっちり。さすがに疲労困憊。酒でも飲みたい気分だが酒はやめてしまったので、ドトールでアイスコーヒーを飲みつつ「Number」を読んで、頭休める。

 その後、営業。

 直帰後、タワレコに寄り道し、ガンガン試聴す。ただ先日ラジオで聴いて気に入ったアルバムは見つけられず、残念無念。
 帰宅後、長友の体幹トレ1時間。

7月1日(火)

 妻からその請求書を見せられたときは心臓が止まるかと思ったが、さすがに無理とは言えず私のなけなしの小遣いを減らし、それでも焼け石に水なのだが中2の娘は先月から塾通いを始めた。

 正直言って中2どころか小4の息子の問題すら解けない私たち夫婦ではもう何を聞かれても答えることができず、いつもグーグル先生に答えてもらっていたのだけれどそれも限界があるわけで、先月はじめにあった中間テストのときに幼なじみに誘われ塾の体験入学をしたのが運の尽き。なんだか突然やる気になった娘はそのまま入塾してしまったというわけ。

 6月はキャンペーン中で入塾料も6月、7月の授業料もいらないとのことで喜んでいたのだが、妻が差し出した請求額はそこらのキャバクラ以上の法外な金額で思わず訴えてやろうかと思ったが、明細書をみると教材費やら設備費やら夏期講習代などが含まれているそうで、どうやら法外ではないらしい。そうは言っても高額は高額。塾に相見積りは通用しないんでしょうか。

 まあとにかく高校受験までは1年半なので、それまでの間、超緊縮財政で家族団結乗り切ろうではないかと夫婦ともども三年ぶりに手を取り合って誓ったのであった。

 そういえば私が塾に通い始めたのも中2の夏だった。当時、私の両親は会社を設立したばかりで、もっともお金がない時期だった。いったいどんな想いで私を塾に通わせていたのだろうか。

6月30日(月)

  • うれしい悲鳴をあげてくれ (ちくま文庫)
  • 『うれしい悲鳴をあげてくれ (ちくま文庫)』
    いしわたり 淳治
    筑摩書房
    858円(税込)
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    honto

 週末にロールケーキを作った。
 初挑戦だったのでどうなることやらと思ったが、しっとりフワフワでめちゃウマだった。
 これで、シュークリーム、シフォンケーキと3つのメニューが揃う。次はプリンの予定。

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 通勤読書は、『うれしい悲鳴をあげてくれ』いしわたり淳治(ちくま文庫)。
 こちらも金曜日の日記と同様、仕事帰りに三省堂書店さんをうろうろしていて見つけた本。恥ずかしながら著者名も知らず(奥付をみると二刷だったので私が知らないだけで人気なのだろう)、平積みになっていたカバーの写真に目を惹かれたのか無意識に手が伸び、冒頭部分を読み出したら不思議なショートショートでオチに吹き出してしまう。というわけで購入、そして読了。期待通りの面白さ。最近、読書カンが冴えている。

 営業。
 消費税率アップ以降、猛烈な落ち込みが続いている。とある書店さんでは、品揃えや展開ではとても太刀打ちできず、人件費と在庫削減で凌ぐしかないとこぼされる。文芸書もベストセラーがまったくなく、かといって文庫が売れているわけでもなく、なんだか世の中から置いてけぼりにされているような感じ。「面白い本はたくさん出ているのに」「みんな本は読みたいけれどどれを読んだらいいのかわからないだけ」とよく言われるけれど、本当なんだろうか。なんだかもっと手前から考え直さないといけないような気がする。

 直帰後、長友の体幹トレ。腹が割れてきた。

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