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9月25日(水)

 屋根を雨が叩く音で目覚める。
 朝練はできない。残念なような少しホッとしたような気持ちで隣に寝ている息子を抱きしめる。

 午前中はDM作りの続き、午後は神保町の書店さんを営業。三省堂書店さんは一階集中レジとなり、各階の通路幅が広がってじっくり棚を眺められるようになった気がする。

 東京堂書店さんでは、28日土曜日に行う内澤旬子さんと宮田珠己さんのイベントで使用するプロジェクターの確認。しかし持っていたMacは繋がらず、アダプターが必要だとか。あわてて秋葉原へ買いに走る。試しておいてよかった。

 夜、浦和にて「浦和フットボール通信」の取材を受ける。

9月24日(火)

 疲れているはずなのに眠れなかった。
 前日行った近藤篤さんとのトークイベントの興奮がまったく覚めないのだ。

 来場いただいたお客さんにとってどうだったかはわからないけれど、私にとって近藤さんと語り合った2時間は人生においておそらく決定的に大切な時間になった。まだ言葉のひとつひとつ、拝見させていただいた写真の一枚一枚を咀嚼することはできないけれど、近藤さんが発した熱が私のなかで暴れている。サインをいただいた『ボールピープル』(文藝春秋)は一生の宝物だ。

 7キロのランニングを終え、6時に息子を起こす。
 今日からサッカーの朝練をすることにしたのだ。

 息子の所属する少年団が、突然リフティングを10回以上できない子は試合どころか練習のミニゲームにも参加させないという方針になり、そのことに関して私は言いたいことが山ほどあるのだけれど、息子が悔しがっているようなので、毎朝練習することにした。ついでにサッカー歴30年にしてリフティングが最高でも37回しかできない自分も練習しようと思う。

 息子と近くの公園に走っていく。息子はまだ2回しかリフティングができない。30分練習しても成果はほとんどあらわれなかった。ボールは真上に上がらず、右や左に飛んでいく。

 でも私に焦りはない。練習すればきちんと上手になることを娘が4年かけて教えてくれた。
 息子との『サッカーデイズ』は始まったばかりだ。

 午前中、書店さん向けDM作りに勤しむ。

 午後、営業。
 ドラマの終わった『ロスジェネの逆襲』がすごいことに......と話しているそばから売れていく。文芸書の売り場がこれだけ活気づいたのは本当に久しぶりだ。

 高田馬場の芳林堂書店さんを訪問すると、10月11日に行う高野秀行さんと角幡唯介さんの早大探検部トークイベントは、満員間近だとか。申し込みお急ぎください。

 夜、松戸の良文堂書店さんに「本の雑誌」10月号を直納。

9月20日(金)

  • 西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事
  • 『西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事』
    広瀬 洋一
    本の雑誌社
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 12時に高野秀行さん、内澤旬子さんと有楽町で待ち合わせ。講談社ノンフィクション賞授賞式で着る高野さんの衣装選び。

 銀座で服を買うどころか、靴を履いたのは三ヶ月ぶり、スーツは持っておらず、ネクタイの締め方すら知らない奇蹟の47歳高野秀行さんに似合う正装があるのだろうかと心配していたのだけれど、5時間に及ぶ内澤さんの見立てにより、高野さんはビックリするほどカッコよくなった......というか元々持っていたカッコよさが服によって引き出された。服っておもしろいかも。

 夜、西荻窪の今野書店さんへ『西荻窪の古本屋さん』を直納した後、阿佐ヶ谷の「よるのひるね」にて飲み会。乾いた喉にジントニックが美味い。(ビールは通風発症以来飲んでません)

 三連休の月曜日(9月23日)には、下北沢のB&Bにて最も愛するサッカーライターである近藤篤さんとのトークイベント「シモキタのボールピープル」を開催予定。今から緊張しているのだけれど、何はともあれ近藤さんに会って、『ボールピープル』(文藝春秋)にサインをもらうのだ。

9月18日(水)

  • 西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事
  • 『西荻窪の古本屋さん 音羽館の日々と仕事』
    広瀬 洋一
    本の雑誌社
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 Jリーグの迷走にイライラし、よく眠れず。日の出とともに8kmランニング。気分転換してから出社。

 楽しみにしていた『血盟団事件』中島岳志(文藝春秋)を読みはじめる。
 すぐにのめり込む。

 今月の新刊『西荻窪の古本屋さん』広瀬洋一著が搬入となる。
 本の雑誌スタッフがこよなく愛する古本屋さん「音羽館」の魅力とその理由が語られ、そして古本屋さんをオープンさせたくなる絶好の書。売りがいを感じる。

 午前中、単行本の企画会議。
 昼、高野さんと「本の雑誌」名物企画「図書カード3万円お買い物」の取材。神保町の「アジア文庫」で嬉々として高野さんが本を購入。

 午後、カネコッチとともに内澤旬子さんのところへ。10月刊行予定の『捨てる女』の再校と装丁打ち合わせ。話せば話す程アイデアがわきだし、イメージが明確になっていく。こういう瞬間が本作りの醍醐味か。

 夜、新宿「池林房」へ招集される。そこには椎名さんを中心にバーロー西澤氏や雑魚釣り隊の面々が...。
 冗談かと思っていた椎名誠こんにゃろ編集の雑誌(のようなもの)が、本当に創刊されるらしい。
 営業を一任される。

9月17日(火)

 朝、テレビを付けたら「武蔵野線 運転見合わせ」の文字。しばらくすると京浜東北線も運転見合わせの仲間入りをし、通勤不能となる。行けないものは仕方ない。ランニング7km。

 10時半に出社。着くとすぐ「本の雑誌」の直納に。サンリオSF文庫特集が絶好調のようだ。

 そのまま営業するも、なんだか思ったようにいかない。ここのところずっとそう。
 毎週末、自分の仕事を振り返り「今週もダメだったなあ」と反省し、「来週こそは」と決意するのだけれど、週が明けてみるとまたダメの繰り返し。どうやったら仕事ができるようになるんだろうか。

 夜、印刷所の営業マンと遅れた暑気払い。
 編集の宮里は、誰かに酒をつぐこともなく、つまみも取り分けようともせず、一心不乱に飲み食いし、「これ、うまいっすねえ」とだけしか言葉を発しない。編集発行人の浜本が睨みつけても我関せずで「レモンサワーおかわり!」と空いたジョッキを高々と掲げる。

 宮里だもの。

9月9日(月)

  • 走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)
  • 『走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)』
    村上 春樹
    文藝春秋
    572円(税込)
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  • PARADISE VALLEY
  • 『PARADISE VALLEY』
    MAYER, JOHN
    COLUM
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  • Where You Stand
  • 『Where You Stand』
    Travis
    Red Telephone Box
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 目が覚めた瞬間、走りたいと思った。前日の日曜日は朝から雨が降り、何度も窓を開けて手のひらを天に向け、ため息をついた。走ろう。

 時計を見ると5時20分だった。たっぷり一時間は走れる。着替え、玄関を開けるとそこにはあまりに美しい空があった。この空さえあればどこまでも走れような気がした。アスファルトを蹴って規則正しく呼吸を繰り返すと、前日降っていた雨の匂いが胸いっぱいに広がった。

 通勤読書は『走ることについて語るときに僕の語ること』村上春樹(文春文庫)。村上春樹の本を読むのも買うのも24年ぶりだ。大嫌いだった。

 でもこの本は信じられないくらい素晴らしかった。走る人の、しかも言葉にすることのできない気持ちを、的確に文章にしていた。これから何十回、何百回と読み直すだろう。

 昼、高野秀行さんの講談社ノンフィクション賞受賞祝いの会を開くお店を探していると、肩を叩かれた。レッズサポ仲間のユキさんだった。

「おい! かめぞう行くぞ!」

 私に神保町一のラーメン屋「めんめんかめぞう」を教えてくれたのはこの人だったのだ。ふたりで、つるかめ。

 午後、営業にでかけるが、3時には会社に戻る。「本の雑誌」2013年10月号ができあがってくるのだ。9月号の「いま校正・校閲はどうなっておるのか!」は、ここ数年で一番売れた号になったのだが、10月号のサンリオSF特集も期待大だ。時間通り納品となり、エレベーターと台車を使って5階まで運び上げる。

 定時で帰る。ジャニスに寄るが、今日は借りない。全額金券バックのハガキが届いていのでそれを使うときのリスト作り。ディスクユニオンと秋葉原のタワーレコードも覗く。「Paradise Valley」John Mayerと「Where You Stand」Travisを購入。

9月7日(金)

  • 日本全国もっと津々うりゃうりゃ
  • 『日本全国もっと津々うりゃうりゃ』
    宮田 珠己
    廣済堂出版
    1,650円(税込)
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  • 島田清次郎 誰にも愛されなかった男
  • 『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』
    風野 春樹
    本の雑誌社
    9,800円(税込)
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 午前中、東京堂書店さんを訪問し、F店長さんと今夜ではなく月末に行う予定のイベント(内澤旬子さんと宮田珠己さん)の打ち合わせ。冷静に考えてみると両者ともに自社本でなかったが、エンタメ・ノンフ三銃士のマネージャーとして新刊が出たら盛り上げなければならない。

 今夜のイベント用に納品しておいた『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』が店売りでほとんど売れてしまっていたので追加で至急納品。その間に本の雑誌10月号部決。

 昼に、セブンイレブンのサラダとおにぎりを食した後、『謎の独立国家ソマリランド』をFAX注文いただいていた書店さんに直納に伺うが、いつの間にか経理的理由で直納が禁止になっていた。パネルとPOPだけでも渡してくればよかったのだが頭に血が上ってしまいそのまま帰社。無念。

 夜、東京堂書店さんにて『島田清次郎 誰にも愛されなかった男』刊行記念イベント、著者の風野春樹さんと春日武彦さんによるトークセッション。年配のお客さんが多いのかと思いきや若い人が多く、なかにはここのところ注目されている作家さんもいらしており、二度びっくり。

 盛況の後、サイン会まで無事終了。打ち上げを編集の松村に任せ、帰社。会社に残っていた宮里やカネコッチとしばし談笑した後、帰宅。金曜の夜は、明日どこをどれだけ走ろうか考えただけでにやけてしまう。

9月5日(木)

 昼、笹塚へ。

『サッカーデイズ』を気に入ってくれた「Number」の編集者から打診された、近藤篤さんとのイベントの打ち合わせ。

 まさか我が無人島本(無人島に持っていく一冊)『ボールピープル』の著者である近藤さんと自分が対談することになるとは......。

 編集者の方からご依頼いただいた際、あまりに演者に格差があるため断ろうかと思ったのだが、トークイベントなどに近藤さんが出たことを見たことがなく、近藤篤ファンとしてどうしても肉声が聞きたく、ファンを代表して引き受けることにした。なので当日は相づちを打つくらいでほとんど私はしゃべらないと思いますので、近藤篤ファンの皆様、この機会をお聞き逃しのないよう、よろしくお願いします。9月23日(月・祝)、下北沢のB&Bにて

 昼食を久しぶりの「鍋家」で食べていると、高野さんから連絡があり、辺境ドトールにて仕事の打ち合わせ。第2期高野秀行出版計画を練る。

 その後、営業し、遅くなったので直帰。

9月4日(水)

  • 謎の独立国家ソマリランド
  • 『謎の独立国家ソマリランド』
    高野 秀行
    本の雑誌社
    2,420円(税込)
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 夜、高野秀行さんがついに帰国されたので、講談社ノンフィクション賞受賞お祝い。

 しかしなぜか銀座や赤坂や六本木に繰り出さず、それどころか神保町の飲み屋にも行かず、本の雑誌社の丸椅子に座って、コンビニで買ってきた乾きものを肴に缶チューハイを飲んだ。

 それでも高野さんを囲む本の雑誌社全員が心の底から高野さんの受賞と『謎の独立国家ソマリランド』のヒットを喜び、みんなが笑い、みんなが手を叩き、みんなが大いに酒を飲み、まるでW杯に出場を決めた代表チームのロッカールームにような雰囲気で、入社16年にして一番楽しい夜だった。

 高野秀行! カンペオン!!

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