あけましておめでとうございます。
本年も「本の雑誌」および単行本をよろしくお願いします。
また年賀状をいただきました皆様、ありがとうございました。
いつの間にか本の雑誌社からは年賀状という風習がなくなっており、すっかり出さなくなってしまった非礼こちらでお詫び申し上げます。
それにしても以前「本の雑誌」にて「ニッポンの地元愛」を連載していただいた石川春菜さんの年賀状は謎だ。「夏に事務所にあそにいきまーす」と書かれているのだが、なぜ「夏」なのだろうか。まだ一月、冬でも春でもいいではないか。夏と言えば半年経った頃ではないか。もしや編集長をされている廃墟系雑誌『八画文化会館』の売行きが芳しくなく、夏まで遠洋漁業の船にでも乗っているのだろうか。心配だが、夏まで待とう。
朝、私用にて少し遅れて出勤すると、御茶ノ水駅前にある取次店N社には多くの出版営業マンが挨拶に訪れていた。たいていの出版営業の仕事始めは、取次店さんや書店さんへの挨拶廻りから始まるのであるが、私は残念ながらその列に並べず、もう十年も続いている本屋大賞の一次投票打ち込みに勤しむ。私がこれを打ち込まないかぎり集計に進めず、ノミネート発表などすでにスケジュールは決まっているので、遅らせるわけにはいかないのであった。
しかも今年は仕事始めの前日が締め切りという恐ろしいスケジュールであったため、私は出社すると年末年始の間に送られてきたであろう投票用紙が手つかずのまま積まれているのであった。
手書きで書かれたこれらをひとつひとつ打ち込んで行くのは大変な苦労なのであるけれど、年賀状と一緒で、まだお会いしたことのない、しかし本屋大賞の投票だけでは長年付き合いのある書店員さんの名前や見覚えのある字を見ると、不思議と力が湧いてくる、ような気がする。
朝から一心不乱に打ち込み、途中事務の浜田やシステム会社のSさんにに手伝ってもらいつつ、午後3時終了。
その後、一気に本来の「仕事」に立ち向かう。
2月発売の高野秀行さん渾身の勝負作『謎の独立国家ソマリランド』は編集作業が佳境を迎えており、装丁家や校正家、編集右腕のカネコッチと次々連絡を取り、進行状況の確認などをする。
またその前に出版する豊崎由美さんの書評集<ガタスタ屋>シリーズ第2弾『ガタスタ屋の矜持 場外乱闘篇』の方は、営業活動が山場を迎えており、その対応。
そういえば、ミシマ社の営業マンWさんから頂いた年賀状には「本を作って営業する杉江さんにあこがれています」と書かれていたが、きちんと本を作ってくれる編集者がいるならば、わざわざ渦中の栗を拾うというか飛んで火にいる夏の虫というか、二足のわらじは履かずどちらかに勤しんだほうがいいと思うのである。
多くの出版社が営業部と編集部に分けているのはそれだけの理由があるのだ。
椎名誠『三匹のかいじゅう』(集英社)読了。
『岳物語』の岳くんの3人の子ども、すなわち椎名さんにとって孫との暮らしが綴られていた。
こちらの本の出版に合わせて、神保町の三省堂書店さんにてトーク&サイン会が開かれる。