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1月26日(木)

  • 竹下佳江 短所を武器とせよ―世界最小最強セッター
  • 『竹下佳江 短所を武器とせよ―世界最小最強セッター』
    吉井 妙子
    新潮社
    1,996円(税込)
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  • 空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む
  • 『空白の五マイル チベット、世界最大のツアンポー峡谷に挑む』
    角幡 唯介
    集英社
    1,760円(税込)
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  • フットボールサミット第5回 拝啓、浦和レッズ様 そのレッズ愛、本物ですか?
  • 『フットボールサミット第5回 拝啓、浦和レッズ様 そのレッズ愛、本物ですか?』
    福田正博,島崎英純,大住良之,沢田哲明,竹田聡一郎,石井隆,了戒美子,浦山利史,杉江由次,『フットボールサミット』議会
    カンゼン
    1,430円(税込)
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「散歩の達人」でなぜか浦和レッズの応援記を連載をしていたとき、オフシーズンのネタに困って一度だけ女子バレーボールを見に行ったことがある。

 寒空の下、おっさん三人で所沢の体育館に向かったのだが、気分はどちらかというとスポーツ観戦というよりは、秋葉原にAKB48を見に行く気分だった。そのせいかおっさん1号が手に入れたチケットはベンチ裏2列目で、ほとんどがぶり寄りのような熱視線を送っていたのである。

 そんななか一人の選手だけが、アスリートとして別世界の輝きを発していた。私たちのおっさん視線もなんのその、まるで体操選手がバレーボールをやっているかのようにボールを拾いトスをあげていた。その選手こそ竹下佳江で、私はそれ以来彼女のことが気になっていた。

 というわけで読みだした『竹下佳江 短所を武器とせよ』吉井妙子(新潮社)なんだけど、いやはやこれは本田や長谷部や長友どころではない。恐るべき練習、信じられぬ負けず嫌い、たゆまぬ工夫、そして這い上がることすらままならない苦しみのなかでバレーボールをやってきたのだ。

 いや竹下だけではない。多くのバレーボール関係者(一部を除いて)が、かつて日本のお家芸といわれたその名に恥じぬよう、ボールに食らいついてきたのである。その歩みに何度も目頭が熱くなる。これは長年追い続けていた人だけが書ける秀逸なノンフィクションだ。

 それにしてもほとんど自身を語ることがなく、マスコミからは「恐怖の一言返し」とまで言われる竹下の、その行動や思考はまさに「戦士」だ。澤穂希同様、もはやアスリートは男子よりも女子のほうがずっとカッコイイ。

★   ★   ★

「本の雑誌」の企画のため、『空白の五マイル』『雪男は向こうからやって来た』(ともに集英社)の角幡唯介さんとジュンク堂書店池袋本店の棚を長時間かけて徘徊す。

 実用書のコーナーで発見した「フットボールサミット 第5回 拝啓、浦和レッズ様」では、なぜか私の原稿が掲載されています。よろしくお願いします。

1月25日(水)

  • ワン・モア
  • 『ワン・モア』
    桜木 紫乃
    角川書店(角川グループパブリッシング)
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 書店さんに『ホームグラウンド』のゲラを届けがてら横浜方面へ直行する。

 その南浦和から横浜までの車中で読んでいたのは、『ワン・モア』桜木紫乃(角川書店)。
 女二人と男の友情小説であり、それぞれの恋愛小説でもある連作短編集なんだけれど、第一話の「十六夜」(桜木紫乃らしい怨念に包まれている)とその他の短編の読後感がまったく異なり、私はずっと加良古露島の人たちが気になってしまった。

 やけに書店さんが混んでいるなと思ったら、世間は給料日だった。
 邪魔になりそうなので腰を引かせつつ営業。

1月23日(月)

 本屋大賞のノミネート作品を発表する。
 やっと今年もここまでたどり着いた。そしてまだこれからなのであった。

 あわせて1月の新刊『植草甚一の勉強』大谷能生著が搬入となる。

1月19日(木)

2月の新刊、はらだみずき著『ホームグラウンド』の編集作業が佳境を迎えるとともに、営業のほうも熱がこもりだす。

 1軒でも多くのお店に置いていただきたいので、今まで訪問したことのない書店さんも名刺とチラシを片手に飛び込む。忙しそうに品出ししている書店員さんに挨拶すると、眉をひそめられ、用はないという感じで、そっぽを向かれてしまう。

 こんなことでへこたれていたら営業なんてやっていられない。

 迷惑にならない程度に話していると、「後で考えるからチラシ置いておいて」と作業台の上を顎で示される。私は「よろしくお願いします」と頭を下げて、お店を後にする。

 悔しさやら恥ずかしさやら反省やらいろんな感情がこみ上げてくるけれど、その底のほうから、「働いているな」という実感がふつふつ沸き上がってくる。

 ここがダメなら次のお店で......。
 駅の改札をくぐるとちょうど来ていた下り電車に飛び乗った。

 翌朝会社に着くと、冷たくあしらわれたと思った書店さんからFAXが届いていた。
 そこには「5」と注文部数が書きこまれていた。

1月17日(火)

  • 高校サッカー監督術 育てる・動かす・勝利する
  • 『高校サッカー監督術 育てる・動かす・勝利する』
    元川悦子
    カンゼン
    1,760円(税込)
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  • 北の無人駅から
  • 『北の無人駅から』
    渡辺 一史,並木 博夫
    北海道新聞社
    2,750円(税込)
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 今年こそ「炎の営業日誌」を毎日書こうと決意したのに、三日坊主どころか二日坊主で終わってしまった。1月の新刊・大谷能生さんの『植草甚一の勉強』の営業が佳境を迎えたのと、2月発売の編集営業本・はらだみずきさんの『ホームグラウンド』の編集作業が大詰めであり、その間に本屋大賞一次投票の集計もあったりして、もはや私には日誌を書く時間など一秒たりともないのである。

 というわけでWEB白水社の「蹴球暮らし」第21回「仲間」を更新。

 営業を始めて約18年が過ぎたのであるが、もしかしたら私は営業の極意というものを発見したかもしれない。まだ人様にお伝えできる段階ではないので詳細は書かないが、もし知りたい人がいたら浦和レッズに点の取れるFWを移籍させて欲しい。今まで「本を売ろう、いっぱい売ろう」と考えてきたのは間違いだったのだ。

 営業の極意を手に入れつつ、『植草甚一の勉強』の見本を持って、取次店さんまわり。N社では私の隣にカンゼンの営業マンが座っていたので思わず話しかけ、『高校サッカー監督術』元川悦子(カンゼン)がいかに素晴らしいか語り明かしてしまった。

 滝川第二や前橋育英、静岡学園高校や流経大柏高など名門高校サッカー部の監督が、いかに悩みながら選手を育て、Jリーガになるような選手を輩出しているかが描かれているのだが、読んでわかるのはこのような名監督は育てながら自身も学んでいるのである。その学びがあるからこそ選手との信頼関係が築かれるのであろう......なんてことをたまたま隣に座った営業マンに語られるカンゼンの営業マンはかわいそうであった。

 飯田橋に移動し、T社を終えると11時20分。なんと川向こうにあるO社の仕入れ窓口は11時半に閉まってしまうため猛ダッシュ。私以外に3名の出版営業マンが江戸川橋を走っており、最後はエレベーターに乗り込む順番を争う熾烈なラストスパートが繰り広げられた。

 午後、地方小出版流通センターを訪問し、『北の無人駅から』渡辺一史(北海道新聞社)を購入。どこかで書評を見て、ずっと気になっていたのだ。

「単なる『ローカル線紀行』や『鉄道もの』ではなく丹念な取材と深い省察から浮き彫りになる北海道と、この国の『地方』が抱える困難な現実──新たな紀行ノンフィクションの地平を切り拓く意欲作」の791ページ、厚さ4センチ、745グラムの大著だ。

1月6日(金)

  • 狩猟文学マスターピース (大人の本棚)
  • 『狩猟文学マスターピース (大人の本棚)』
    服部 文祥
    みすず書房
    11,469円(税込)
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  • ユリイカ2012年1月臨時増刊号 総特集=石川直樹 エベレストから路地裏までを駆ける魂
  • 『ユリイカ2012年1月臨時増刊号 総特集=石川直樹 エベレストから路地裏までを駆ける魂』
    石川直樹,森山大道,服部文祥,内藤正敏,伊藤俊治
    青土社
    8,208円(税込)
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 朝早く出社するとともに昨夜のうちに届いた本屋大賞のFAX投票を確認。ひとまずそれをすべて打ち込む。

 毎年のことだけれど、手書きの文字を、それも人の文章を打ち込むのは、たとえ短い文章だったとしても結構苦労する。昨夜遅くまで頑張ったおかげで、昼には私の担当分が終了。喜び勇んで外回りに出かける。

 しかし年末年始の書店さんの売上は芳しくなかったようで、新年早々苦い顔で互いに見つめあう。昨年はあまりに多くの書店さんが閉店に追い込まれた。何の線かわからないけれど、ある一線を踏み越えてしまった印象を受け、地方や郊外のみならず、都内でも本屋さんのない町がちらほら出てきてしまった。おそらくその傾向はより一層進むことになるだろう。

 本と読者の距離がどんどん離れていく。私はそれが一番心配だ。

 通勤読書は、狩猟ものを集めたアンソロジー『狩猟文学マスターピース』服部文祥(みすず書房)。服部文祥といえば、『ユリイカ 2012年臨時増刊号 石川直樹』の対談が興味深かった。

 またその対談相手である石川直樹は「新潮」2011年9月号に掲載された「いま始まる生存と創造」(石川直樹・岡田利規・坂口恭平)でも決して慣れ合いならず、かなり鋭く坂口恭平に突っ込んでいたりして、もしかしたら対談向きの人なのではないかと思った。

1月5日(木)

  • 負けんな、ヤルキキャンプ
  • 『負けんな、ヤルキキャンプ』
    光安 純
    角川書店(角川グループパブリッシング)
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 あけましておめでとうございます。
 本年も「本の雑誌」及び単行本、そして「WEB本の雑誌」をよろしくお願いします。

 仕事始め。
 昨夜は仕事のことを考えぐったりしていたのに、約一週間ぶりにスーツを着て通勤電車に乗ると、いつの間にかサラリーマンに変身させられていた。おそらく電話ボックスで変身するスッパマンのように、埼京線には何らかの仕掛けがされているのだろう。

 誰が決めたのか仕事始めの日が、本屋大賞一次投票の締切日。
 年末年始の間にいただいたFAX注文の処理や、2月に刊行する、はらだみずき著『ホームグラウンド』(連載時タイトル「サッカーストリーズ」)のゲラ送付など、様々なやらなければならない仕事と格闘しつつ、本屋大賞のFAX投票を夜遅くまで打ち込む。

 もちろんその間には新宿や池袋の書店さんへ新年の挨拶回りと営業も。どこの書店さんも変身した出版営業マンが棚影にたくさんいた。

 通勤読書は、『負けんな、ヤルキキャンブ』光安純(角川書店)。

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