担当=牧眞司
- 2024年9月10日11:16
【今週はこれを読め! SF編】
分断された人類に未来はあるか~王城夕紀『ノマディアが残された』- 混乱の国際世界で繰りひろげられる、人類の運命をかけたサスペンス。設定がたいへん練りあげられている。 日本の外務省直轄の秘密組織「複製課(レプリカ)」は、最新...
- 2024年9月3日11:28
【今週はこれを読め! SF編】
壮大な宇宙の逃走劇と、知恵を駆使する青春SF〜宮西建礼『銀河風帆走』- 宮西建礼は第四回創元SF短編賞を受賞してデビュー。本書はその受賞作を含む全五作品の短篇集で、著者にとってははじめての単行本となる。 表題作「銀河風帆走」は創...
- 2024年8月27日11:42
【今週はこれを読め! SF編】
『タウ・ゼロ』に匹敵する壮大な宇宙SF〜春暮康一『一億年のテレスコープ』- 春暮康一は、第七回ハヤカワSFコンテストで優秀賞を受賞した『オーラリメイカー』で2019年にデビュー、2022年刊の短篇集『法治の獣』が『SFが読みたい!』に...
- 2024年8月19日12:00
【今週はこれを読め! SF編】
じつは壮大な人類史・宇宙史が背景に〜松崎有理『山手線が転生して加速器になりました。』- ハードSFというよりも、もっと広範に「理系想像力の小説」と捉えたとき、いまの日本でもっとも前衛・先鋭をきわめているのは、前回この欄で取りあげた新刊短篇集『ムー...
- 2024年8月14日11:00
【今週はこれを読め! SF編】
メタフィジカルな神話、テキストの宇宙〜円城塔『ムーンシャイン』- 四作品を収録した、円城塔の最新短篇集。著者は「あとがき」で、〔書き手の中には一貫したなにかがあるのであり、この全体の迷走感は迷走感でそれなりのまとまりがある〕...
- 2024年8月6日12:26
【今週はこれを読め! SF編】
抱腹絶倒のSFユーロビジョン小説〜キャサリン・M・ヴァレンテ『デシベル・ジョーンズの銀河(スペース)オペラ』- 『宝石の筏で妖精国を旅した少女』『孤児の物語』など、流麗なファンタジイの書き手として名高いキャサリン・M・ヴァレンテだが、本書は、銀河系の知的生命体がそれぞれの...
- 2024年7月23日11:50
【今週はこれを読め! SF編】
9人の作家による9人のサイボーグの物語~石ノ森章太郎原作『サイボーグ009トリビュート』- 石ノ森章太郎『サイボーグ009』は1964年に連載開始。のちに単行本化、アニメ化された。ちりばめられたSFガジェットの数々、シリアスなテーマ、そしてキャラクタ...
- 2024年7月17日11:43
【今週はこれを読め! SF編】
本棚の前に佇んで、あるいは立ちすくんで〜『幻想と怪奇 不思議な本棚 ショートショート・カーニヴァル』- 『幻想と怪奇』は雑誌体裁だが、出版流通区分は単行本であり、コラム類が充実したアンソロジーというのが実質だ。通常は通し号数がついていて現在15巻にまで達している。...
- 2024年7月9日11:13
【今週はこれを読め! SF編】
諧謔味に満ちたイギリス侵攻小説〜P・G・ウッドハウス『スウープ!』- ウッドハウスはイギリス文学界のユーモア王。ネジがゆるい紳士バーティーと切れ者の執事ジーヴスとが繰りひろげるコメディ連作は、いまなお多くの読書家に親しまれつづけ...
- 2024年7月2日13:39
【今週はこれを読め! SF編】
悠久の叙事詩〜オラフ・ステープルドン『最後にして最初の人類』- 第二次大戦前におけるSFの最重要作家を数えるなら、H・G・ウエルズの次にステープルドンの名をあげなければならない。世代的にはウエルズが1866年生まれ、ステー...