担当=牧眞司

行き場のない余韻、不協和音としての愛~坂崎かおる『嘘つき姫』
2024年4月16日11:50

【今週はこれを読め! SF編】

行き場のない余韻、不協和音としての愛~坂崎かおる『嘘つき姫』
 坂崎かおるは2020年から本格的に小説執筆を開始、すぐにいくつものコンテストで結果をあらわした、注目の新鋭だ。本書は初の単行本。ふたつの書き下ろしを含む、全九...
母から娘、四世代にわたる人類のサバイバル~高島雄哉『はじまりの青 シンデュアリティ:ルーツ』
2024年4月9日12:02

【今週はこれを読め! SF編】

母から娘、四世代にわたる人類のサバイバル~高島雄哉『はじまりの青 シンデュアリティ:ルーツ』
 メディアミックスで展開中のプロジェクト〈SYNDUALITY〉の、本書は公式小説。高島雄哉作品らしい、ハードSFのガジェットと青春小説テイストがたくみにブレン...
パンデミックや気候変動を生き抜く〜セコイア・ナガマツ『闇の中をどこまで高く』
2024年4月2日11:50

【今週はこれを読め! SF編】

パンデミックや気候変動を生き抜く〜セコイア・ナガマツ『闇の中をどこまで高く』
『闇の中をどこまで高く』は2022年に発表された、セコイア・ナガマツの第一長篇だ。著者は1982年生まれのアメリカ作家だが、ルーツが日本にあり、本作品でも日系の...
形而上学的アンチミステリと異色の不条理SF~スタニスワフ・レム『捜査・浴槽で発見された手記』
2024年3月26日11:55

【今週はこれを読め! SF編】

形而上学的アンチミステリと異色の不条理SF~スタニスワフ・レム『捜査・浴槽で発見された手記』
《スタニスワフ・レム・コレクション》の最新巻。代表作『ソラリス』(1961年)と前後して発表された、ふたつの長篇を新訳で収録している。どちらも長らく旧訳が入手し...
静かな感動作? それとも不穏が募るイヤSF?~間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』
2024年3月19日18:56

【今週はこれを読め! SF編】

静かな感動作? それとも不穏が募るイヤSF?~間宮改衣『ここはすべての夜明けまえ』
 第十一回ハヤカワSFコンテスト特別賞受賞作。刊行に先だって〈SFマガジン〉に一挙掲載され、大きな反響を得た話題作である。  2123年10月1日、語り手のわた...
独創的なアイデア、謎の展開、青春の葛藤〜松樹凛『射手座の香る夏』
2024年3月12日11:55

【今週はこれを読め! SF編】

独創的なアイデア、謎の展開、青春の葛藤〜松樹凛『射手座の香る夏』
 第十二回創元SF短編賞を受賞した松樹凛のデビュー短篇集。四作品を収録している。  巻頭を飾るのは、その受賞作「射手座の香る夏」。SFのアイデアとしては一方に意...
高度成長期の日本にSNSがあったら~宮内悠介『国歌を作った男』
2024年3月5日15:59

【今週はこれを読め! SF編】

高度成長期の日本にSNSがあったら~宮内悠介『国歌を作った男』
 宮内悠介の新しい短篇集。SF、ミステリ、純文学作品とさまざまな傾向の十三篇を収める。 「パニック――一九六五年のSNS」は、改変歴史SF。過去の時代を舞台に、...
降霊術、輪廻転生、死後の物語〜『幻想と怪奇15 霊魂の不滅 心霊小説傑作選』
2024年2月27日12:05

【今週はこれを読め! SF編】

降霊術、輪廻転生、死後の物語〜『幻想と怪奇15 霊魂の不滅 心霊小説傑作選』
 意欲的な企画で定評のある『幻想と怪奇』の最新刊。こんかいは心霊小説の特集だ。巻頭に「欧米心霊学略年譜(一八四八〜一九二六)」を掲げる。この期間が、心霊現象に対...
タペストリーのような質感の未来のお伽噺〜ラヴィ・ティドハー『ロボットの夢の都市』
2024年2月20日11:55

【今週はこれを読め! SF編】

タペストリーのような質感の未来のお伽噺〜ラヴィ・ティドハー『ロボットの夢の都市』
 ラヴィ・ティドハーは1976年生まれ、イスラエル出身でロンドン在住のSF作家。2000年代から短篇を発表していたが、とくに注目されるようになったのは2011年...
不死者の欲望と葛藤〜森口大地編訳『ドイツ・ヴァンパイア怪縁奇談集』
2024年2月13日11:52

【今週はこれを読め! SF編】

不死者の欲望と葛藤〜森口大地編訳『ドイツ・ヴァンパイア怪縁奇談集』
 貴重なアンソロジー。1820〜30年代にドイツ語圏で書かれたヴァンパイア小説を集めている。なんともニッチに思える企画だが、ただの物好きではない。怪奇小説史のメ...