担当=牧眞司

超高温の地球、体内でダイヤを育てる民〜関元聡『摂氏千度、五万気圧』
2025年12月23日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

超高温の地球、体内でダイヤを育てる民〜関元聡『摂氏千度、五万気圧』
 第十三回ハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作。関元聡はすでに日経「星新一賞」グランプリを二年連続で獲得している注目株だ。同賞は一万字以内という枚数制限があるので...
韓国の鬼才による異色短篇集〜チョン・ボラ『呪いのウサギ』
2025年12月16日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

韓国の鬼才による異色短篇集〜チョン・ボラ『呪いのウサギ』
 著者チョン・ボラは、韓国の小説家にして翻訳家(ロシア語とポーランド語の現代作品を韓国に紹介している)。本書は2017 年に出版された短篇集で、十篇を収録。  ...
見知らぬ町の深部、わが意識の奥底〜酉島伝法『無常商店街』
2025年12月8日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

見知らぬ町の深部、わが意識の奥底〜酉島伝法『無常商店街』
 酉島伝法の新作。ぱっと見には平凡な町、しかし、その深部は異貌の境地。そんなところにうっかり入りこんでしまった主人公の身に降りかかる災難を描く三篇の連作である。...
波瀾万丈のロマンタジー大作〜キャリー・ハート『クイックシルバー 異邦の錬金術師と妖精王子』
2025年12月2日11:07

【今週はこれを読め! SF編】

波瀾万丈のロマンタジー大作〜キャリー・ハート『クイックシルバー 異邦の錬金術師と妖精王子』
 ロマンスとファンタジイは騎士物語の時代から親和性の高いもので、フィクションの系譜のなかに延々と受けつがれてきたが、両者をぴったりと融合させ「ロマンタジー」とい...
恒星間宇宙船と月面都市、宇宙をまたぐ謀略〜ロブ・ハート&アレックス・セグラ『暗黒空間』
2025年11月25日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

恒星間宇宙船と月面都市、宇宙をまたぐ謀略〜ロブ・ハート&アレックス・セグラ『暗黒空間』
 人口拡大をつづける人類は、月、火星、タイタンに入植地をつくっていたが、さまざまな面で限界に達しており、太陽系内の生存可能な領域はすでに過密状態だった。この状況...
記憶を書き換える言葉、反現実へと至る語り〜サラ・ピンスカー『いつかどこかにあった場所』
2025年11月18日11:43

【今週はこれを読め! SF編】

記憶を書き換える言葉、反現実へと至る語り〜サラ・ピンスカー『いつかどこかにあった場所』
『いずれすべては海の中に』につづく、サラ・ピンスカーの第二短篇集。2016年から21年にかけて発表された作品に、書き下ろしの「科学的事実!」を加えた、全十二篇が...
戦争にとどめをさすはずの巨大モンスター〜ジェイムズ・モロウ『ヒロシマめざしてのそのそと』
2025年11月11日12:05

【今週はこれを読め! SF編】

戦争にとどめをさすはずの巨大モンスター〜ジェイムズ・モロウ『ヒロシマめざしてのそのそと』
 ジェイムズ・モロウは、1981年に第一長篇を発表してデビュー。ネビュラ賞や世界幻想文学大賞など、いくたびか賞を射止め、現在ではアメリカSF界で確固たる地位を築...
ゆるい配信で途轍もない超科学をお届けします〜宮澤伊織『ときときチャンネル ない天気作ってみた』
2025年11月4日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

ゆるい配信で途轍もない超科学をお届けします〜宮澤伊織『ときときチャンネル ない天気作ってみた』
 超科学+配信という新しいタイプのハードSF連作「ときときチャンネル」の、単行本第二弾。2023年刊の一冊目『ときときチャンネル 宇宙飲んでみた』は好評を博し、...
火星と地球、その距離と葛藤〜小川哲『火星の女王』
2025年10月28日11:30

【今週はこれを読め! SF編】

火星と地球、その距離と葛藤〜小川哲『火星の女王』
 なんと『火星の女王』である。いかにもSFの直球というか大時代的なタイトルだが、この作品における女王とは象徴であって、エドガー・ライス・バロウズ『火星のプリンセ...
成層圏に硫黄のベールを張る弾丸〜ニール・スティーヴンスン『ターミネーション・ショック』
2025年10月21日11:52

【今週はこれを読め! SF編】

成層圏に硫黄のベールを張る弾丸〜ニール・スティーヴンスン『ターミネーション・ショック』
 ニール・スティーヴンスンは、メタヴァースの概念を先取りした『スノウ・クラッシュ』(1992年)や、壮大なポストアポカリプスSF『七人のイヴ』((2015年)な...