担当=杉江松恋

懊悩と後悔を描くジョルジュ・シムノン『月射病』
2025年2月11日15:00

【今週はこれを読め! ミステリー編】

懊悩と後悔を描くジョルジュ・シムノン『月射病』
 悶えるシムノン。苦しむシムノン。  ジョルジュ・シムノンには大人の作家というイメージがあるのではないか。それはもちろん、あの魅力的なメグレ...
21世紀犯罪文学の収穫〜ジョー・ネスボ『失墜の王国』
2025年1月31日12:00

【今週はこれを読め! ミステリー編】

21世紀犯罪文学の収穫〜ジョー・ネスボ『失墜の王国』
 犯罪小説の精髄というものだと思う。  ジョー・ネスボひさびさの翻訳長篇『失墜の王国』(鈴木恵訳/早川書房)は、ノルウェー山間の村オスを舞台...
坂崎かおるの素晴らしい短篇集『箱庭クロニクル』
2025年1月3日14:15

【今週はこれを読め! ミステリー編】

坂崎かおるの素晴らしい短篇集『箱庭クロニクル』
 2024年に最も注目された新人は、坂崎かおるであった。  坂崎のデビュー作は2020年にかぐやSFコンテスト審査員特別賞を受賞した短篇「リ...
取材記録から浮かぶ事件の真相〜ジャニス・ハレット『アルパートンの天使たち』
2024年12月27日12:00

【今週はこれを読め! ミステリー編】

取材記録から浮かぶ事件の真相〜ジャニス・ハレット『アルパートンの天使たち』
 読みながら新しい世界が目の前に拓かれていくのを感じた。  ジャニス・ハレット『アルパートンの天使たち』(山田蘭訳。集英社文庫)は、カルト教...
作者の原体験が盛り込まれた辻真先『命みじかし恋せよ乙女 少年明智小五郎』
2024年12月20日17:05

【今週はこれを読め! ミステリー編】

作者の原体験が盛り込まれた辻真先『命みじかし恋せよ乙女 少年明智小五郎』
 辻真先の新刊題名を見て、おっ、と思わず声が出た。 『命みじかし恋せよ乙女 少年明智小五郎』(東京創元社)である。副題を見ていただきたい。「...
シリーズ掉尾を飾る自叙伝小説〜ローレンス・ブロック『マット・スカダー わが探偵人生』
2024年12月4日16:53

【今週はこれを読め! ミステリー編】

シリーズ掉尾を飾る自叙伝小説〜ローレンス・ブロック『マット・スカダー わが探偵人生』
 犯罪小説史上、極めて重要な意味を持つ一冊となった。  ローレンス・ブロック『マット・スカダー わが探偵人生』(田口俊樹訳。二見書房)は不思...
夜を描く落語ミステリー〜愛川晶『モウ半分、クダサイ』
2024年11月27日11:30

【今週はこれを読め! ミステリー編】

夜を描く落語ミステリー〜愛川晶『モウ半分、クダサイ』
 口承文芸の本質とミステリーの趣向が理想的な形で結合した小説である。  愛川晶『モウ半分、クダサイ』(中央公論新社)は、著者が得意分野とする...
「えっ」と驚くジェローム・ルブリ『魔女の檻』がおもしろい!
2024年11月21日12:03

【今週はこれを読め! ミステリー編】

「えっ」と驚くジェローム・ルブリ『魔女の檻』がおもしろい!
 ミステリーはルールのある喧嘩のようなものだから、基本的になんでもありだ。  なんでもありとしつつ、ルールは守れ、とも言っているので、どこに...
想像を超えた展開になだれ込む〜ジャン=クリストフ・グランジェ『ミゼレーレ』
2024年11月15日12:10

【今週はこれを読め! ミステリー編】

想像を超えた展開になだれ込む〜ジャン=クリストフ・グランジェ『ミゼレーレ』
 文章の一つひとつが剣山となり、肌をえぐられるような感覚があった。  ジャン=クリストフ・グランジェ『ミゼレーレ』(平岡敦訳。創元推理文庫)...
どんどんよくなるワシントン・ポー・シリーズ〜M・W・クレイヴン『ボタニストの殺人』
2024年10月31日13:14

【今週はこれを読め! ミステリー編】

どんどんよくなるワシントン・ポー・シリーズ〜M・W・クレイヴン『ボタニストの殺人』
 M・W・クレイヴンは出るたびによくなっていく。  新作『ボタニストの殺人』(東野さやか訳/ハヤカワ・ミステリ文庫。訳者・版元は以下同)のこ...