担当=杉江松恋

滅法おもしろい家族サバイバル小説〜永嶋恵美『檜垣澤家の炎上』
2024年9月5日11:59

【今週はこれを読め! ミステリー編】

滅法おもしろい家族サバイバル小説〜永嶋恵美『檜垣澤家の炎上』
 確かに長大、しかしするする読めて滅法おもしろい。  永嶋恵美『檜垣澤家の炎上』(新潮文庫)が8月頭にでん、と出て1月が経った。今年は大長篇...
幻の古典 ドゥーセ『スミルノ博士の日記』がまさかの復刊!
2024年8月29日12:06

【今週はこれを読め! ミステリー編】

幻の古典 ドゥーセ『スミルノ博士の日記』がまさかの復刊!
 ファンの間では名のみ高くて、その実読んだ者は少ない、という作品がある。  スウェーデンの作家、サミュエル・アウグスト・ドゥーセが1917年...
新名智『雷龍楼の殺人』に体をひっくり返される!
2024年8月21日11:58

【今週はこれを読め! ミステリー編】

新名智『雷龍楼の殺人』に体をひっくり返される!
 新名智の小説は、体をひっくり返されるような感覚がある。  単にどんでん返しというだけでは伝わらないと思う。もっと生理的にたまらなくなる感じ...
60年の時を超える犯人当て小説〜クリスティン・ペリン『白薔薇殺人事件』
2024年8月15日11:55

【今週はこれを読め! ミステリー編】

60年の時を超える犯人当て小説〜クリスティン・ペリン『白薔薇殺人事件』
 犯人当て小説は作者の、読者の心理を読むセンスが問われる形式だ。  最もらしからぬ登場人物を犯人にするだけでは不十分で、真相を明かすことによ...
潮谷験の最高作登場!〜『伯爵と三つの棺』
2024年7月25日11:59

【今週はこれを読め! ミステリー編】

潮谷験の最高作登場!〜『伯爵と三つの棺』
 今度は歴史ものかっ。  潮谷験『伯爵と三つの棺』(講談社)はフランスで起きた革命運動に揺れる18世紀後半のヨーロッパを舞台とした長篇ミステ...
殺し屋・爪角の若き日の物語〜ク・ビョンモ『破砕』
2024年7月22日18:37

【今週はこれを読め! ミステリー編】

殺し屋・爪角の若き日の物語〜ク・ビョンモ『破砕』
 爪角再び。  ク・ビョンモ『破砕』(小山内園子訳。岩波書店)は、2022年に邦訳された長篇『破果』(岩波書店)からのスピンオフ作品で、若き...
結城真一郎の隙のない連作短篇集『難問の多い料理店』
2024年7月10日12:20

【今週はこれを読め! ミステリー編】

結城真一郎の隙のない連作短篇集『難問の多い料理店』
 中央に大きな穴がある物語である。  ぽっかりと空いた穴は、何でも受け入れてくれるように見える。胸の裡を打ち明ければ、何も言わずに聞き届けて...
共同体の恐るべき秘密を暴く〜S・A・コスビー『すべての罪は血を流す』
2024年7月1日11:12

【今週はこれを読め! ミステリー編】

共同体の恐るべき秘密を暴く〜S・A・コスビー『すべての罪は血を流す』
 その要素とそれが合体するか。  S・A・コスビーの邦訳第三作『すべての罪は血を流す』(加賀山卓朗訳/ハーパーBOOKS)を読んでいて、気持...
探偵・明智恭介の語られざる事件簿〜今村昌弘『明智恭介の奔走』
2024年6月28日11:50

【今週はこれを読め! ミステリー編】

探偵・明智恭介の語られざる事件簿〜今村昌弘『明智恭介の奔走』
 名探偵は退場を許されないことがある。  今村昌弘が創造した明智恭介がそうだ。最新作『明智恭介の奔走』(東京創元社)で再登場することになった...
台湾私立探偵小説続編『DV8 台北プライベートアイ2』刊行!
2024年6月18日11:44

【今週はこれを読め! ミステリー編】

台湾私立探偵小説続編『DV8 台北プライベートアイ2』刊行!
 今度は過去の物語なのか。  台湾作家・紀蔚然『DV8』(舩山むつみ訳/文藝春秋)が刊行された。2021年に翻訳され、第13回翻訳ミステリー...