• 日本壊滅: 巨大地震(南海トラフ・首都直下)被害を最小限に抑える

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『日本壊滅』

巨大地震(南海トラフ・首都直下)被害を最小限に抑える

著者:池田清彦

予価1320円(税込)

2025年7月26日発売予定

 

怖いのは大災害後。
国力のない日本は他国の属国となる

巨大地震後にやって来る日本壊滅の危機を回避するために

1消費税廃止、ベーシックインカムの導入、積極財政を行い国内生産力を上げる。
2補助金を出して第一次産業従事者を保護し、食料自給率を上げる。
3教育に投資して、イノベーションを起こせる人材を養成する。

テレビでもおなじみの生物学者が、きたる10年で自然災害に備える対策を考える。

■新書判 ■192ページ
978-4-86011-605-7

【著者プロフィール】

池田清彦(いけだ・きよひこ)
1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。TAKAO 599 MUSEUMの名誉館長。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『SDGsの大嘘』(宝島社新書)、『食糧危機という真っ赤な嘘』(ビジネス社)、『国家は葛藤する』(内田樹氏との共著、ビジネス社)など多数。

【目次】
 
はじめに 3

第1章 巨大地震は確実にやってくる 17

南海トラフ地震の被害想定は1466兆円 18
南海トラフ地震は複合災害 20
海溝型地震で最も怖いのは津波 23
地殻変動は止められない 26
マグニチュードと震度の違い 29
南海トラフ地震で被害が最大なのは愛知県 32
時間予測モデルによると地震発生は2036年 34
南海トラフ地震臨時情報とは 38
震源近くでは緊急地震速報を聞いて避難しても間に合わない 41
首都直下地震とは 44
首都直下地震で一番怖いのは火事 46
家に太陽光パネルを張らないほうがいい 48
今の地震対策は政治家の利権の温床 50


第2章 地震の予兆察知はできるか 53

地震予知は難しい 54
予兆察知① 地震前に猫はジャンプする 56
予兆察知② 電離圏に異常が起きる 60


第3章  地震の被害を最小限に抑えるために──きたる10年での備え 63

1 政府・地方自治体レベルでの備え 65
  インフラへの公共投資を進める 65
  自衛隊は災害救助で国民に尽くしたほうがいい 70
  国家の防災の要は食料とエネルギーの確保 72
  将来的には核融合でエネルギー問題は解決する 76
  100年間うまくやれるシステムづくりを考える 79
  政府は第一次産業の保護・食料の備蓄に今すぐ着手すべき 80
  日本の食料自給率は38%、実質自給率は10%を切っている 83
  第一次産業を振興するにはどうしたらいいか 87
  休耕地ですぐに作物は作れない 90
  魚も輸入していいことはない 92
  淡水魚の養殖に力を入れよう 93
  食肉は国産、培養肉に移行を 98
  国力をつけて南海トラフ地震に備える 102
  消費税を廃止すれば景気はよくなる 106
  積極財政で国力を上げておくことが重要 111
  少子化は悪いことではない 115
  ベーシックインカムで少子化は解消 120

2 小さな共同体レベルでの備え 125
  地産地消で食料を確保 125
  水車を作って集落ごとに発電する 126
  小さなバイオマス発電所を作る 128
  東京都の市区町村は地方と姉妹都市提携をするといい 130

3 企業レベルでの備え 133
  能登半島地震で再確認された企業防災の重要性 133
  防災は企業の死活問題 135
  国力維持のために生産力を落とさない備えを 136
  人口の分散化の推進 138
  日本は研究にもっと投資すべき 139

4 個人レベルでの備え 142
  自分の家の土地は安全か 142
  電気自動車は災害時にリスクが高い 144
  全員が避難所生活を送れるわけではない 145
  地方の安い空き家を買っておく 148
  1週間分の水と食料は確保しておく 149
  地産地消、フードマイレージを意識する 154
  食べすぎをなくすことでも食料自給率は上がる 156
  団塊の世代は10年後も歩いて避難できる体力づくりと開き直りを 158
  一部の資産はドルに換えておく 159
  情報隠しをする政府はあてにしない 160

第4章  大災害の後には政治システムはガラッと変わる 167

  南海トラフ地震と同じくらい怖いのは地球寒冷化 168
  寒冷化は温暖化より怖い 170
  富士山が噴火したら気温は下がる 173
  災害後に日本の政治の体制がガラッと変わった 177
  きたる南海トラフ地震後の日本はどうなるか 179
  震災後に属国にならずに他国の援助を受け取れるか 181
  日本人に必要なのは危機感と自立に向けた心性の変革 184

あとがき 188


【はじめに】

 すでにご存じの方が多いと思うが、最大マグニチュード(M)9・1の南海トラフ地震が2030年代に日本を襲うと想定されている。もちろん確かなことは誰にもわからないが、地球科学者の鎌田浩毅氏によればその時期は2035年プラス・マイナス5年、同じく地球科学者の尾池和夫氏によれば一番確度が高いのは2038年だという。2025年3月31日に発表された内閣府の最新の被害想定によれば、最悪のケースでは死者29万8000人、全壊・焼失棟数235万棟、経済被害270兆3000億円(292兆2000億円という報道もある)ということだ。これは東日本大震災よりも1桁多い被害想定である。
 南海トラフ地震以外にも、今後30年以内に、首都直下地震(M7程度)をはじめ、根室沖(M7・8〜8・5程度)、宮城県沖(M7・4前後)を震源とする地震が、80〜90%の確率で起こると想定されている。日本はいつ未曽有の大災害に巻き込まれてもおかしくない状況にある。そうなったときに生き残る方途はあるのか。
 さらには、火山の大爆発や気候変動により地球規模の寒冷化が起こり、世界的な食料不足が起きるかもしれない。考えれば考えるほど、未来はバラ色からは程遠いが、何もせずに見ているわけにはいかない。本書では被害を最小限に食い止めるために、今我々ができることに何があるのかを考えていきたい。

本書は4章からなっている。

●第1章 巨大地震は確実にやってくる
 南海トラフ地震や首都直下地震に関する知識(地震の原因、被害想定、発生年を予測できる根拠など)をコンパクトにまとめて書いた。正確な情報を知ることは防災の第一歩である。

●第2章 地震の予兆察知はできるか
 今後30年以内に大地震が起こる確率は80%といわれても、あまり役に立たないと思う人は多いだろう。明日起こるとか数時間以内に起こるという直近の予測であれば、命が助かる人はぐっと増える。この章では直近に起こる予兆について述べた。参考になれば幸いである。

●第3章 地震の被害を最小限に抑えるために──きたる10年での備え
 私が最も力を入れて書いた章である。大地震による直接的な打撃で死なないためになすべきことを政府・地方自治体レベルから、小さな共同体レベル、企業レベル、個人レベルまで縷々述べた。しかし、私が最も懸念していることは、日本の国力が下がっていると、たとえ命だけは助かっても、その後悲惨になるだろうということだ。
 国力とは経済力、生産力、国民の知力と創造力、文化発信力、資源力、軍事力などの総体である。日本はこの30年で国力が下がり続けた。GDP、1人当たりのGDP、平均賃金などが国際水準から見て総合的に下がっており、食料自給率もカロリーベースで38%、飼料や肥料を計算に入れた実質の自給率は10%を切っている。この状態で大震災が起こると、日本は立ち上がれない。それまでに何とか国力を回復させて、自力で震災を乗り越えて復興することを目指す必要がある。
 猶予はあと10年。国力を回復する術はあるのか。消費税を廃止して景気を回復させて、自国通貨建ての国債を発行して積極財政を推し進め、第一次産業に豊富な補助金を出して食料自給率を上げ、それでもインフレ率が2〜4%以内に収まっていれば、ベーシックインカムを導入することで国力はV字回復するだろう、といったことが書いてある。
 貧富の差を拡大させて、大半の国民を奴隷化して反抗する気力を奪い、自分たちだけの安穏を貪りたい権力者とその取り巻きは「絵空事」と言うだろうが、すべての革命的な政策は、最初は絵空事だったのだよ。

●第4章 大災害の後には政治システムはガラッと変わる
 この章ではまず、大災害は大地震ばかりではなく、地球規模の寒冷化でも起こることを説明した。現在は温暖化傾向が続いているが、地球の気候変動の歴史を見れば、いずれ寒冷化は間違いなく起こり、世界的な飢饉が起こるだろう。
 南海トラフ地震は日本だけの局地的な災害だが、寒冷化は世界的な災害で、どの国も食料が逼迫すれば、日本に食料を輸出してくれなくなる。このままでは食料自給率が低い日本は飢えに苦しむことになる。
 大災害の後では政治システムが変わることが多い。江戸幕府の成立も明治維新も大地震が引き金になっている。南海トラフ地震の後でも、政治システムは大きく変わるだろう。東日本大震災の10倍以上の被害ということであれば、当初は外国に援助してもらわざるを得ないかもしれない。10年後の世界の政治・経済事情がどうなっているかにもよるが、大規模な支援をしてくれるほど国力のある国は、アメリカ、中国、インドくらいだと思われる。問題は、日本が数年で自力復興できる国力を喪失していると、大規模な支援をしてくれた国の属国になる恐れがあることだ。そうならないためにはどうしたらよいかは本文に詳しく書いたので、是非読んでみてほしい。

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