8月27日(水)ZINE

自転車を漕いで駅に着き、薄暗いホームで武蔵野線を待っていると、尋常でない量の汗が噴き出す。今週は暑い。

いつだかの会議で「神保町ブックフェスティバルの目玉商品が欲しい」と言われ、本末転倒、日常の目玉商品を作れよという言葉をぐっと飲み込み企画した本の雑誌社初のZINE『神保町日記2025』の初稿ゲラを松村から渡される。

書籍編集の近藤、営業事務兼経理の浜田、編集発行人の浜本、進行の松村、そして私のそれぞれが2025年7月15日から8月14日を記した日記なのだが(私はこの期間二つの日記を記すという謎展開)、こんなもん目玉商品になるのか⁉︎と訝しみながら目を通す。

初売りは10/11、10/12に京都で行われる下鴨中通ブックフェアで、その後神保町ブックフェスティバル、さらに文学フリマで販売する予定。

夜、埼スタに行って発狂する。

8月26日(火)目的地

朝ラン6キロ。日、月は介護のため走れずなので火曜のランニングは足も心も休息十分で大変軽い。

シャワーを浴びて、本日も猛烈な暑さの中、9時半に出社。午前中はフェア用のパネルと注文書作り。

午後、渋谷へ。HMVさんを訪問すると何やらたくさんの人がビルに吸い込まれていく。もしや⁉︎と思ったら、5階のCD売り場も6階の書籍の売り場もすごい人。6階ではレジに並ぶお客さんが50メートル以上列を作っており、あわてて店内掲示を確認するとStray Kidsというグループのアルバム発売日らしい。誰かが以前CDの発売は毎週水曜日だからその日を外すといいとアドバイスしてくれたのだがどうやらそうとは限らないようだ(後に娘に聞くと輸入版だからといっていた)。

これはレジから火が吹くのではなかろうかと思いつつ、とてもお話しどころではないので退散。それにしても推し力ってすごい。

続いて奥渋にあるSPBSさんを覗くとこの暑さにも関わらず、店内に10人ほどのお客様がいてびっくり。それでも来たい場所になっているということだろう。本屋さんはぶらりと寄る場所ではなく、目的地にならなければならないということか。放課後の校庭が閉じられてしまったように世の中みんなそういう場所になってしまったということかもしれない。前田隆弘『今の自分が最強ラッキー説』、品品『品品喫茶譚 Ⅳ』を購入する。



アイスを二つ食べる。

8月25日(月)島沢優子『叱らない時代の指導術 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践』

  • 叱らない時代の指導術: 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践 (NHK出版新書 748)
  • 『叱らない時代の指導術: 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践 (NHK出版新書 748)』
    島沢 優子
    NHK出版
    1,023円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

島沢優子『叱らない時代の指導術 主体性を伸ばすスポーツ現場の実践』 (NHK出版新書)を読了する。

息子が小学生のときに入っていた少年団は明らかに「叱る」指導で、叱るどころか子供の襟首捕まえてぶん回すようなコーチだった。

アホだなあと冷めた目で見ていたのが悪かったのか、今から考えると私に対しての報復措置だったのだろう。小学6年生となり卒団まで残り3ヶ月となったところで息子が標的にされた。

練習や試合に行けば至近距離で怒鳴られ、浦和レッズの応援で休んだら呼び出された。少年団の規則を紐解くとJリーグを観に行くのは欠席にならないと記されているのにだ。

息子もパンク寸前だったが、妻の方が限界だった。

これは前にも書いたような気がするけれど、ある夕方、息子とランニングしながら考えた。少年団を続けるか、やめるか。というか「やめるか?」と私が訊いたら、息子は「やめていいの?」と驚いた顔をして聞き返してきたのだ。

そりゃあやめていいだろ。サッカーは楽しむためにやってるのに、楽しくないならやめた方がいい。

そして、息子は少年団をやめた。

いまだにわからないのはその後の妻の行動だ。

妻はあちこちのサッカークラブを検索し、小6の冬から入れるクラブを探し出したのだ。

息子は少年団でもレギュラーになれないくらい下手だった。Jリーガーになんて絶対なれないし、高校選手権にも出られるわけもない。サッカーを続ける必要なんてなかったのだ。

それなのに妻は必死にクラブを探した。そして埼スタサッカースクールというサッカークラブを探し当て、息子を連れて話を聞きに行き、車の運転が嫌いなのに送迎をすることにして、入会した。

その埼スタサッカースクールはまったく「叱らない指導」だった。グラウンドに響き渡るのはコーチの「ナイス!」という褒める声ばかりで、息子はそこで生まれて初めてサッカーを楽しんだ。大笑いしながらサッカーをして、意味もなくマルセイユ・ルーレットを何周もしていた。

息子の通っていた少年団の子たちは、ほとんど中学でサッカーをやめてしまった。

その少年団を残り3ヶ月でやめた息子は今、サッカーの仕事に就いて、毎日ボールを蹴っている。

8月24日(日)週末介護の日曜日にはスズキナオの本を読む

  • 酒ともやしと横になる私
  • 『酒ともやしと横になる私』
    スズキナオ
    シカク出版
    1,430円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS
  • 遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ
  • 『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』
    スズキナオ
    スタンド・ブックス
    1,813円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HMV&BOOKS

本日も激暑。防災無線で熱中症の予防を呼びかけている。お墓参りも散歩もあきらめ、母親の見守りという読者タイム。

実家での介護が始まってから、おおよそ1000冊くらいの未読本を自宅から運んできている。実家は私が20歳過ぎたときに建て直しており、当時バブルの絶頂にいた父親から部屋を好きなようにしていいと言われた私は、屋根裏部屋を作り、天井も壁も全部丸太小屋に見えるよう板張りにし、さらに壁一面を造り付けの本棚にしたのだった。

その本棚にはもちろん本がぎっちり収めたまま家を出たのだけれど、半世紀過ぎてみればもはや興味の対象ではない本も多く、介護が始まると同時にほとんどを整理し、その空いた棚にわが愛おしの積読本を並べているわけだ。

介護という時間だけはある中に身を置いて過ごしていると、その日の自分の気分というものを見つめることになり、さらにその都度改めて興味をもつものを考える。これは掛け算であり、無限の回答が必要だ。その無限の回答こそが積読本であり、今日はそんな積読の棚からスズキナオさんの『酒ともやしと横になる私』(シカク出版)に手を伸ばす。

土曜日曜と何もできず実家にこもっているとなんて無駄な時間を過ごしているのだろうと焦燥感に駆られることがある。SNSを見れば旅行している人もいれば、本屋に行ってる人もいて、そして美味しいものを食べている人もいる。

世の中からひとり取り残されているような気持ちに支配されそうになったとき、スズキナオさんの著作はとてもいい。激しい喜怒哀楽がなく、誰とも比較せず、平坦な気持ちのなかで、おかしみが湧いてくる。

スズキナオさんの著作に『遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ』(スタンド・ブックス)という著作があるが、私は「週末介護の日曜日にはスズキナオの本を読む」という感じ。

もしかするとスズキナオさんの本は、入院している人にもぴったりかもしれない。

8月23日(土)キャンピングカー

埼玉は37度超えの中、週末実家介護のため母親を施設に迎えにいき、実家に向かう。本日も残念ながら父親の墓参りも散歩も断念し、終日クーラーの効いた部屋で過ごす。

午後、中学校からの子分ダボがやってくる。車の運転が好きで、今それを仕事にしている彼は、最近キャンピングカーに夢中で、あちこちで開催されている展示会に通っているという。

キャンピングカー仕様に改造したハイエースが欲しいらしいがそれは相当な値段で現実性は乏しく、それでもYouTubeを見たりカタログを見たりしている時間が楽しいらしい。

YouTubeの部分がかつては雑誌の役割だったんだろうなあと思いながら話を聞いていた。

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