12月28日(日)椎名さんと群さん
晴れ。母親の車椅子を押して、父親の墓参りと散歩。
集英社の WEB「よみタイ」に掲載された椎名さんと群さんの対談を読んで胸を熱くする。
当たり前のことだが、この人たちがいて今の自分がある。それは本の雑誌社という仕事場においてもそうだが、椎名さんの本が私に与えた影響は計り知れない。
そう思う人の下で働けている自分の人生の不可思議さにただただ感謝する。
晴れ。母親の車椅子を押して、父親の墓参りと散歩。
集英社の WEB「よみタイ」に掲載された椎名さんと群さんの対談を読んで胸を熱くする。
当たり前のことだが、この人たちがいて今の自分がある。それは本の雑誌社という仕事場においてもそうだが、椎名さんの本が私に与えた影響は計り知れない。
そう思う人の下で働けている自分の人生の不可思議さにただただ感謝する。
週末実家介護のため母親を施設に迎えにいく。
先週ここを去る時は熱でふらふらだったのに、今日はすっかり体調回復しているのが不思議だ。タミフルのおかげ。母親にうつらなかったことが行幸だ。
8時に出社し、溜まっていた仕事を一気に片付ける。
昼前に今年最後の直納。池袋の三省堂書店さんに『おすすめ文庫王国2026』をお届けする。
本の雑誌社は、今日で2025年の仕事納め。神田明神にお参りし、一年の無事を感謝する。
直納ではじまり、直納でおわる一年だった。
明日からの社会復帰に向けてリハビリを兼ねて夕方ランニングに。すると驚いたことに息が上がったのだ。心拍も爆上がりし、ハアハア言い、足取りあやしく転びそうになってしまった。
日曜日から数えて約四日、トイレに行く以外ほとんどベッドの上で過ごした結果、足の筋肉があっという間に衰えたということなのだろう。
筋肉を目覚めさせるようにゆっくりと5キロほど走るが、走るどころか歩く様もどこかぎこちない。
私がいない会社にいろんな人が年末の挨拶にいらしていたそうで残念無念。
あの、たとえ口を押さえてもしゃべり続けるであろう多弁で雄弁なPOP王こと内田剛さんが、感に堪えない様子で「いいんですよねええ」と一言いったきり言葉を失っていた赤神諒『夏鶯』(集英社)。
その様子が気になり読み始めたところ、最近では飲み会で出版界の明石家さんまとも呼ばれる私も無言になって、内田さんのようにただただ読了後、本を撫でさすってしまった。
本をおすすめするのには言葉が必要なんだけれど、本当にすごい本を読んだときには言葉を失ってしまうものなのだ。
しかし言葉を失う前には、何度も何度も何度も激しく涙を流すことになるので、この本を読む前にはティッシュペーパーかフェイスタオルを傍に用意しておくことをおすすめする。
まず冒頭で幕末の1868年に吉備藩の行列をフランス人が横切り発砲事件となった「三宮事変」が記される。そしてすぐに時代は25年ほどさかのぼり、吉備藩金谷村の一人の俊英が登場する。その俊英は砲術家の家督を継ぐ藩士の次男・滝田蓮三郎といい、文武共に頭ひとつどころかいくつも抜きに出ており、末は吉備藩どころか日本を支える存在になるだろうとめされている。
読者は当然ここで気づくのだ。冒頭に記された吉備藩の行列を率いていたのが滝田とあったことに──。
それ以上のことを語ってはこの本を読む喜びを奪ってしまうので一切ストーリーには触れない。とにかく何も知らずに読み、どうして? なんで? もうやめて!とあなたも物語の濁流に飲み込まれてほしい。
それにしてもを『夏鶯』を読まずして2025年のベストを語っていた自分の愚かさを大いに恥じたい。申し訳ございませんでしたと深く首を垂れる。誰に? 読者に。著者に。そしてやっぱり北上次郎さんに。北上さんだったら速攻で手にして大絶賛していたことだろう。
そろそろ仕事納めとなろうかと思うが、帰りに本屋さんに寄ってぜひ『夏鶯』買って帰ってほしい。
この本が読めたことで、2025年がいい年だったと思えるはずだ。
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