1月1日(木)餅が好き

  • 京都の平熱――哲学者の都市案内 (講談社学術文庫 2167)
  • 『京都の平熱――哲学者の都市案内 (講談社学術文庫 2167)』
    鷲田 清一
    講談社
    1,078円(税込)
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元日。新年最初の注文は一冊!取引所を通じて盛岡のBOOKNERDさんから坪内祐三さんの本など5冊。

家族で向き合い雑煮とおせち。お餅を食べる度に目黒さんお餅が好きだったよなあと思い出す。年が明けて顔を合わせると餅の食べ過ぎで太っちゃったからダイエットしてるんだという報告を毎年受けていた。

感傷にひたり『笹塚日記 親子丼篇』を本棚から手にとると日記本文の下に目黒さんと当時の編集担当の金子さんと私による対談が掲載されていてびっくり。書籍化の際にこんなおまけを掲載していたことをすっかり忘れていた。読み返してみるとずいぶん生意気なことを言っており恥ずかしくなる。

妻と自転車で角上魚類へ。大晦日に比べるといくぶん空いており、まだカゴを手に持てる。これが大混雑だとカゴを頭に乗せて買い物せねばならぬのだ。寿司と天丼を買って帰宅。

昼、息子と北与野のフタバスポーツに初詣。サッカーのスパイクを見にいく。お店はお年玉をもらった子供達や部活の高校生でいっぱい。息子が語るうんちくに耳を傾ける。

その後、さいたま新都心のコクーンに歩いていき、紀伊國屋書店さんを覗く。こちらも大盛況で、レジにはたくさんの人が本を手に並んでいる。その表情がみなとてもうれしそう。ご来光だ。

浦和に戻り、日高屋で遅い昼メシ。息子はW餃子定食と味噌ラーメン。私はその餃子のお裾分けとレモンサワー。餃子8個に唐揚げ2個、そしてどんぶり飯にたっぷり野菜の乗った味噌ラーメンはさすがに食べきれないだろうと見ていると、息子はあっという間に完食。21歳のエネルギーに感服する。

バスに揺られて帰宅。

鷲田清一『京都の平熱』(講談社学術文庫)を再読しながら就寝。

12月31日(水)最後の注文

バリューブックスさんから昨日公開された「ゆる言語学ラジオ」で水野さんが2025年ベスト本に選んだ大山顕『立体交差』が即完してしまったと追加注文が届く。2025年最後の注文。

SNSを見ていると今年のベスト本を記している人が多く、その中に高野秀行『酒を主食とする人々』や大山顕『マンションポエム東京論』を挙げている人をちらほら見かけ、うれしくなる。

あれくらいの本を作ればベストに挙げてもらえるということだ。それはかなり大変なことなのだが、来年もそれらに匹敵する本を作り、売っていかなければならない。

2025年は充実したいい一年だった。

12月30日(火)厚底革命

物にはまったくこだわらない私だ。

中学校以来長年続けているサッカーのスパイクもワゴンセールのスパイクしか買ったことがない。5000円以下、小さかったり大きかったりしても紐を緩めたりソックスを2枚履けばいいだろうと思っている。

どうしてそんなこだわらないかといえば差がわからないからだ。これがもし3万円のミズノのモレリアを履いたらどんなボールでもぴたりと止まり、ピンポイントで蹴れるようになるなら私も3万円、いや10万円でもお金を惜しまない。

しかし、3万円のスパイクだろうと部室の片隅に捨てられたスパイクを履こうと私の足元にボールが止まることはなく、思ったところには飛ばないのだ。

だから私はものにこだわらない。

ランニングシューズも一緒だ。かれこれもう15年くらい走っているのだが、その足元はやはりガレージセールで手にしたランニングシューズである。

それどころか今履いているのは死んだ親父の下駄箱から出てきた春日部のサトーココノカドーで購入したであろう超ウルトラ量産品の1980円くらいの靴だ。

片付けをしていた頃、ちょうどランニングシューズの底がすり減っていたのでこれ幸いと頂戴し、それを履いて毎朝ランニングしているのである。

そのガレージセールの男の風向きが少し変わったのは先月のことだ。

息子が来春行われるさいたまマラソンに出るためアウトレットでランニングシューズを買い求めてきたのである。

NIKEのヴェイパーフライいうやつで、厚底の見たことも履いたこもとないランニングシューズだった。私の超ウルトラ量産品とはまるで違うものに見えた。

ある朝、息子のいびきが屋根裏部屋から聞こえてくる中、私は息子のランニングシューズを履いてみた。

玄関を開けて、町内を一周してみるとなにやらまったく違う。走っているというよりは、飛んでいる。

もし私が松田優作だったら「なんじゃこりゃあ」と叫んだであろう。そして私の愛称は「ランシュー刑事」になっていただろう。

さすがに人の靴で毎日走るわけにもいかず、私はまた父親の形見という超量産品のぺたんこの靴で走っていたのである。

昨夜、娘と息子を仕事場に迎えに行った。仕事納めで定時にあがれないというので、近くのショッピングモールで時間を潰すことにした。そこには大きなスポーツショップがあり、気づけば足が向かっていた。

息子が買ってきたランニングシューズを探すと、なんと2万円近くするではないか。「なんじゃこりゃあ」の私であるが、「ダメだこりゃあ」と叫んでしまった。

私はマラソン大会にも出ないし、そもそも2万円あったら本が10冊買えると考えてしまう人間だ。

仕方なくお得意のガレージセールコーナに向かう。まず目についたのが3980円のアシックスのランニングシューズだ。それは中学生の通学靴のような真っ白で、私が今履いている父親の形見と対して変わらない感じだった。

やっぱりものにはこだわらない私にはこれだろうと靴紐を解いていると、仕事を終えた娘がやってきて、「パパ、これも25だよ」とNIKEのランニングシューズを渡してくれた。

それは息子が買ったランニングシューズとは違うライバルフライというやつで、いわゆる厚底の、時代の最先端のランニングシューズだった。値札を見たら6000円。6000円は私でも買える値段である。

試し履きしてみるとふわんふわんする。これまで履いていた靴はアスファルトの上を直に走っているような感じだったが、これは雲の上を走っているようだ。

実はものにこだわらないのは、それがかっこいいと思っていたふしもある。何を使ったって同じだよと嘯いて口笛を吹きたかったのだ。

しかし、これは明らかに違う。このランニングシューズを履いて走ったら人生が変わる気がした。

買うしかない。買うのだヨシツグ!と叫んでレジに向かった。

そして今日、初めてその靴を履いてランニングした。全然違った。めっちゃ速い。駆けるというより、飛ぶのだ。まさしくフライ、ダディ、フライだ。

約10年遅れで、厚底革命がついに私にやってきた。

12月29日(月)昼寝

母親の介護施設に送り出す。年末年始も施設に居てもらい、私は今日から金曜日までゆっくり休暇を取る。私は私の人生があり、母親は母親の人生を自分で生きなくてはならないのだ、と考えるようにしている。

罪悪感を拭い去るべく、自宅まで15キロ走って帰る。

大掃除は春に延期し、久しぶりに昼寝。

12月28日(日)椎名さんと群さん

晴れ。母親の車椅子を押して、父親の墓参りと散歩。

集英社の WEB「よみタイ」に掲載された椎名さんと群さんの対談を読んで胸を熱くする。

当たり前のことだが、この人たちがいて今の自分がある。それは本の雑誌社という仕事場においてもそうだが、椎名さんの本が私に与えた影響は計り知れない。

そう思う人の下で働けている自分の人生の不可思議さにただただ感謝する。

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