4月26日(土)コーラス

朝、週末介護で実家に行き、庭を掃除していたら、家の前を歩いて通り過ぎて行ったおばあさんが、戻ってきて声をかけてきた。

「すみません。私、コーロ桐の花でお母さまと一緒にコーラスやっていた大西と申します。杉江さんにはすごくお世話になって、旅行に行ったりもしたんですよ」

コーロ桐の花というのは母親が立ち上げた合唱団なのだが、それは私が中学生くらいの時の話だった。

大西さんと名乗るおばあさんは、二つ先の駅に住んでいたのだけれど旦那さんを亡くし、ひとりで家で過ごすのも心配で、最近この近くのサービス付き高齢者向け住宅に引っ越してきたという。

その施設は出歩くのは自由なのでこの辺りを毎日散歩しているそうで、シャッターが閉まった我が家を見ては、私の母親のことを心配していたのだという。

ボケはじめている母親に会わせたところで噛み合わない会話になったりしないか不安に思いつつ、家に上がってもらった。

すると顔を合わせるなり、ふたりは40年以上前のコーラスの話を、時間を忘れて話し出したのだった。

「いろんな歌をうたってねえ。紫のドレス着てさ。グレーのドレスも素敵だったわよね。本当に、いい思い出。私、春日部の文化会館で団員募集のポスターを見て連絡したのよ。ただ練習する公民館が遠かったでしょう。初めて見学に行った日のこと私一生忘れないの。杉江さんと中原さんが武里駅で待っててくれたの。今でもあの光景、思い出すわよ」

1時間ほど話して帰って行った大西さんは帽子を忘れた。

施設まで届けに行こうかと思ったがやめた。忘れ物があった方がまた来やすいだろう。

4月25日(金)大迷惑

代休。

夜、埼スタへ。サヴィオのドリブルと金子の爆走で1対0の勝利。3位に。

しかし、我が前列の兄ちゃんが、コールリーダー気取りで後ろをやたら振り返り煽ってくるので試合に集中できず。息子の友達が何度も前を向けと押し返すが、酔っ払っていて言うことを聞かず。煽られなくても我々はお前の1000倍声を出し、飛んでいるのだ。

4月24日(木)鶯谷・信濃路

日曜日に鬼子母神通りで行ったみちくさ市の荷物を立石書店の岡島さんが車で運んできてくれたので、台車を転がし古書会館へ引き取りに伺う。

午後、銀座の教文館さんへ。担当のKさんおすすめの北方謙三〈日向圭一郎〉シリーズを買い求む。全巻、池上冬樹さんの解説がついているようで、これも楽しみ。

夜、鶯谷の信濃路にてKADOKAWAの山田先生と一献。「この酒やばいんですよ」と言いながら青リンゴサワーを飲みつつ、西村賢太さんの話をする。山田先生はいつもキモ貝氏が食べていた「朝の飯田橋駅の×××××カレー」をペロリと食していた。

4月23日(水)お店の力

朝、5時に起きて、頼まれ仕事に没入。

出社後は昨日のDMの続き。印刷会社から日下三蔵『断捨離血風録』と小山力也『古本屋ツアー・イン・日下三蔵邸』の色校と念校が出たので諸々手配。

両著のサイン本受付をスタートした西荻窪の盛林堂書房さんから予定冊数に一日で達してしまったため、早速の追加注文をいただく。

それにしてもサイン本はすでに本の雑誌社のWEBストアで受け付けており、しかも盛林堂さんは2冊セットのみの申し込みなのだった。それがたった一日で本の雑誌社がこれまでに受け付けた冊数を超えており、いやはやお店というものの凄さを改めて思い知るのだった。

結局、本を売るのは本屋さんであって、版元ではないのだ。お客さんはお店についており、出版社についているわけではない。そのお店を信頼するお客さんが、そのお店を通して本を購入するのである。

4月22日(火)本の雑誌創刊50周年記念イベント

6月刊行の大山顕『マンションポエム東京論』のチラシを作り、書店さん用にDMの準備に勤しむ。

ひと段落ついたところで5月18日に開催する本の雑誌創刊50周年記念イベントである『日下三蔵×小山力也「劇的⁉︎魔窟ビフォーアフター」』『大森望×吉田伸子×本の雑誌社スタッフ「目黒考二と目黒さんの書評は永遠に不滅なのだ。』のチケット制作と電子チケットを登録。初めてのことなので、いろいろと神経がすり減り疲労困憊。

夜、歌舞伎町の「地下ん家」という酒用のケースに電灯を灯しガムテープで補修した看板を掲げる居酒屋で、古書現世の向井さん、イラストレーターの信濃八太郎さんと酒。

店内は一切内装費をかけていない作りながら、気づけばお店は超満員で、向井さんのおすすめ通り、安くて美味いのだった。新宿というのは本当に不思議な場所だ。

なぜかずっと金曜日の気がしていたのだが、まだ火曜日だった。しかし私は9日連続働いているのだった。

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