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第二十七回 哲学の道−伏見稲荷−亀山−四間道 その2
 今年の正月以来、十ヶ月ぶりに郷里の鈴鹿の地を踏む。鈴鹿ハンターのゑびすやでうどんを食べる。さすがにくたくただ。  翌日、起きたら十一時前。いちおう母と喫茶店で朝食をすます予定だったが「モーニングの時間、終わってもうたわ」と文句をいわれる。... (21.03.03)
第二十七回 哲学の道−伏見稲荷−亀山−四間道 その1
 十一月十四日(土)から二泊三日、京都と三重に行って帰ってきた。  ひさしぶりに旅行らしい旅行だった。このあたりから新型コロナの感染者数も増加し、旅をするのも気が重い。  京都行きの一週間前から酒を控え、体調を整え、旅先でも無理せず、歩きす... (21.03.03)
第二十六回 近所の鎌倉街道 後編
 一九八九年の秋、JR中央線の高円寺に引っ越し、今も暮らしている。最近は散歩が仕事の日々だ(暇です)。高円寺には川がない。いちおう桃園川という川があるのだが、暗渠になっている。家にこもって仕事をしていると、川が見たくなる。川沿いの道を歩きた... (20.10.31)
第二十五回 近所の鎌倉街道 前編
 三月以降、晴れの日一万歩、雨の日は五千歩の散歩を日課にしている。もっとも歩数は気分次第で増えたり減ったりする。だいたいの目安だ。  JR中央線の高円寺界隈に住みはじめて三十余年になるが、歩いた記憶のない道がたくさんある。高円寺から早稲田通... (20.09.29)
第二十四回 取手-土浦-水戸
《第二十三回 横浜-我孫子-取手編よりつづく》 《水戸街道は五街道につぐ、主要街道である。これは、奥州諸大名に対する押さえという、江戸の北面の防備を水戸藩の役目として位置付けたためである》(「水戸街道」/『JTBの旅ノートPLUS 街道を歩... (20.08.26)
第二十三回 横浜-我孫子-取手
 今年二月中旬以降、新型コロナの影響で街道歩きをしていない。三月中旬に五十肩になった。いろいろボロボロですよ。でも元気に歩けるうちに全国の街道を旅したいというおもいも強くなる。  二月十五日(土)、神奈川近代文学館の獅子文六展を見に行った。... (20.07.31)
第二十二回 鳥羽-大和朝倉-石上神宮(後編)
 十一月四日、朝六時、近鉄電車に乗って、奈良へ。伊勢若松駅、伊勢中川駅で乗り換える。朝焼けがきれいだった。  山の辺の道(桜井~天理)は大人の足なら四時間くらいで歩ける。寄り道せずに歩くと十四キロくらい(奈良~桜井のルートだと三十五キロの道... (20.05.31)
第二十一回 鳥羽-大和朝倉-石上神宮(前編)
 もろもろの事情で街道歩きは中断している。旅行業界、大丈夫なのだろうか。  五十歳になったら、わたしは大人の休日倶楽部に入会し、東北や北信越の文学館をまわろうとおもっていた。現在、各地の文学館が休館になり、文学展も延期になっている。今ごろ「... (20.05.07)
第二十回 府中(静岡)-豊橋-伊良湖 その2
 前おきが長くなったが、十一月二日、新幹線で静岡駅へ。この日、大道芸ワールドカップが開催されていた。東海道をすこし歩いて引っ越しの手伝いをする。  わたしが妻と結婚したのは二〇〇二年の秋で、それから静岡を行き来する機会が増えたのだが、訪れる... (20.03.31)
第二十回 府中(静岡)-豊橋-伊良湖 その1
 江戸時代に疫病が流行したとき、関所によって、その蔓延を防いでいたという史実がある(日本でコレラが全国に広まったのは明治期以降)。人々の移動を制限する関所なんてないほうがいいに決まっている。しかし防疫の面でいえば、関所(の機能)は有効だった... (20.03.31)
第十九回 奈良井-洗馬-塩尻-豊科-信濃追分-坂木
 わたしが旅に出たくなるのは、半ば現実逃避なのだが、そのさい、川沿いの道を歩きたくなる。水を見ながら歩くと、なんとなく心が軽くなる。  九月一日、朝七時すぎ、三重県鈴鹿市の家を出て近鉄四日市駅へ。シャッター街化したアーケード内の旧東海道を通... (20.01.15)
第十八回 四日市-内部-石薬師
 八月三十一日、出発ぎりぎりまで仕事してからほぼ徹夜で東京駅へ。今おもえば、この無理がよくなかった。  青春18きっぷは残っているが、新幹線で名古屋まで行く。18きっぷだと三重に着くまでに日没になり、地元の街道が歩けない。  街道歩きをはじ... (19.12.04)
第十七回 高尾-小原-大月-石和-酒折-富士宮-岩淵-熱海
 六月から七月のはじめにかけて街道歩きを中断していた。梅雨時の街道歩きはなるべく避けたい。雨の日は歩行者が少なく、その分、車がスピードを出す。怖い。車がすれ違うたびに水しぶきを浴びるのもつらい。  七月末、静岡出身の妻の両親から安倍川の花火... (19.10.31)
第十六回 福山-矢掛-総社-姫路
 五月、仕事部屋の立退きが急に決まり、部屋探しと蔵書の整理に追われて、歩く時間を捻出できない。  西部古書会館で伊藤幸司著『歩く本』(日本実業出版社)という新書サイズの本を買う。街道歩きをはじめてから、道や宿場町だけでなく、歩くことや靴にも... (19.09.25)
第十五回 神戸-高松-丸亀-琴平-引田-和歌山
 香川県・高松で『些末事研究』というミニコミを作っている福田賢治さんとルヌガンガでトークショーをすることになった。  記念シンポジウムを記録する会編『読む人・書く人・編集する人 「思想の科学」五〇年と、それから』(思想の科学社)では、福田さ... (19.08.19)
第十四回 土山-新居-江尻
 自分の半生をふりかえると、トントン拍子に事が運んだというような経験は少ない。たいてい最初は躓いて、ジタバタして、どうにかこうにか帳尻を合わせてきた。  行き当たりばったりに事をはじめてしまうから当然のように壁にぶつかる。そこから本番という... (19.06.25)
第十三回 二川-大垣-京都-青山町
 東海道は五十三次、中山道は六十七次――合わせて百二十。一ヶ月一宿で十年、二宿で五年、四宿で三年。楽ではないが、絶妙な数だ。  当初、東京と郷里の三重の行き来しながら、これまで行ったことのない東海道や中山道の町で途中下車し、街道を散策しよう... (19.05.23)
第十二回 醒ケ井-犬山-多治見-中津川
 四十代半ば、東京と郷里の三重を行き来するうちに街道に興味を持った。最初のころは「四、五年かけて東海道と中山道をふらふら歩けたら」とおもっていた。ところが、知れば知るほど、歩きたい町が増えていく。三重にいたころ、あまりなじみのなかった滋賀や... (19.04.30)
第十一回 大磯-亀山-関-水口
 三月から四月――青春18きっぷの季節到来。18きっぷをつかうと電車の移動時間が長く、歩く時間があまりとれない。東京から三重県の鈴鹿市までJRの在来線だと八時間ちょっと。街道歩きは日没まで――と決めているので、歩ける場所は限られている。途中... (19.04.18)
第十回 膝折-大和田-大井-川越
 板橋から川越を目指して歩き、途中、朝霞市に宿をとった。あちこち寄り道していたら、和光市のあたりで日が暮れた。  ゆっくり歩いても十七時ごろには到着するとおもっていたのだが......。  日没後、ローソン和光本町店を出て数百メートルほど歩... (19.03.29)
第九回 平尾追分-上板橋-下練馬-下赤塚-白子
 JR中央線の御茶ノ水駅(御茶ノ水橋口)から神保町の古書店街に向かう明大通り(下り坂)を歩く。途中、明大前交差点から山の上ホテル前に至る坂は甲賀坂、その近くに錦華坂がある。  学生時代から数えきれないくらい歩いてきた坂だ。今も週一回くらいは... (19.03.20)
第八回 幸手-関宿-境町-杉戸
 朝八時、旅館あさよろずを出る。日帰りもできたのだが、街道歩きは宿場町に泊るのも楽しみのひとつだ。前日に歩いた場所からそのまま出発できるのも気分がいい。  玄関で靴をはきながら、宿の人に「今年、創業二百年と聞いたのですが、何月に創業したかわ... (19.02.28)
第七回 王子-田端-谷在家-草加-春日部
 JR中央線沿線の高円寺に住むようになって、かれこれ三十年になる。長く暮らしているが、いまだに知らないことがいろいろある。  そのひとつがバス事情だ。駅前のバス停には練馬駅、赤羽駅、阿佐谷営業所、野方駅、五日市街道、永福町行などの関東バスが... (19.02.19)
第六回 日本橋-品川-庄野-小田原−下曽我
 上京してかれこれ三十年くらいになるが、東京の町もJR中央線沿線+東京メトロ東西線以外の沿線は、たまにしか利用していない。  東海道の品川宿、中山道の板橋宿、日光道中の千住宿などをちゃんと歩いたのもこの一年くらいのことだ。新宿は数え切れない... (19.01.31)
第五回 烏森-宮-恵那-塩尻-甲府
 郷里の三重・鈴鹿の家で東海地方の地図(三十年くらい前のもの)を見ていたら、愛知県名古屋市中村区烏森町が気になった。烏森は「かすもり」と読む。JR関西本線の烏森駅、近鉄烏森駅がもより駅。郷里から名古屋までは急行を利用するのでいつも通過してい... (19.01.11)
第四回 愛知川-五箇荘-草津-三条大橋-大津-大垣-桑名
 青空文庫に入っている劇作家の三好十郎の「歩くこと」というエッセイをよく読み返す。一九五二年に書かれた文章だ。頭が混乱したり、心が疲れたりしているときに三好十郎は外に出て、二、三時間歩く。途中、乗りものに乗ることも多い。 《歩くよりも乗りも... (18.12.25)
第三回 日永の追分-奈良井-塩尻-善光寺-小諸-岩村田
(......前回の続き)  十九時十七分には伊勢鉄道の鈴鹿駅に到着しているはずが、二十時すぎまでJR四日市駅で足止め。この日(十月七日)は鈴鹿サーキットでF1が開催されていて、伊勢鉄道の鈴鹿サーキット稲生駅が大混乱に陥り、その影響で電車... (18.12.06)
第二回 掛川-天竜二俣-浜松
 最近、なるべく酔っぱらいすぎないようにしている。酒が進むと街道の話ばかりしてしまうからだ。  出身地を聞いたら、即、街道の話。プロ野球の話をしていてもそうだ。  先日、飲み屋で千葉ロッテのファンに会ったとき、「ファームは埼玉の浦和ですね。... (18.11.15)
第一回 「街道病」にかかる
 深夜、日本地図を見ながら、二泊三日くらいの旅行の計画を立てる。ウイスキーの水割を飲みながら、街道沿いの文学館や郷土資料館を探し、電車の乗り継ぎ時間などを調べているうちに、気がつくと明け方になっている。  頭の中が街道のことでいっぱいだ。最... (18.11.02)