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12月9日(月)

  • 山のクジラを獲りたくて―単独忍び猟記
  • 『山のクジラを獲りたくて―単独忍び猟記』
    武重 謙
    山と渓谷社
    1,650円(税込)
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 朝、駅に着くと東浦和駅で痴漢が線路内に逃げ込んだとかで武蔵野線運転見合わせ。みんなまた武蔵野線がと怒っているが、今回に限っては武蔵野線に罪があるわけではないので、同情しながら電車が動くのを待つ。

 1月刊行の『本を売る技術』の再校が著者の矢部潤子さんから戻ってきたので細心の注意を払ってゲラに書き写していく。諸々終えると昼を過ぎており、コピーを取った上でレターパックに入れてデザイナーさんへ送る。

 昼はコンビニでおにぎりとサラダを買い求め、家から持ってきたバナナとともに食す。先週録音してきた「北上ラジオ」の第10回分をYou Tubeにアップする。

 今回、北上次郎さんが熱烈推薦したのは『里奈の物語』鈴木大介(文藝春秋)。北関東のある町で、家庭すらない貧困状態の中育った女の子の苦しくもパワフルな青春小説。

 製本所より「本の雑誌」1月号が届くのを待っていたところ、内澤旬子さんより2月刊行の『着せる女』(連載時「着せ替えの手帖」改題)の再校が戻ってくる。またまたゲラに書き写す作業を始める。

 もはや営業なのか編集なのかよくわらからない状況なのだけれど、なんだかもう自分の中ではそういう仕事の区分けみたいなものはなくなっており、本を作るのも売るのも同じことというか、野球でいえばバッターのときもあれば、守備でボールを追いかけるときもあるように、どちらもひとつの流れの中にある。そしてさらに出版という仕事には、営業でも編集でもない仕事もたくさんあるわけで(最近は広報的な仕事がどんどん増えている)、それらも一連の流れの中で進めていく。そのすべてが「本を売る」ということに集約していくわけで、そういう意味ではやはり営業なのかもしれない。

 19時、頭がクタクタになったので仕事を切り上げ帰宅。

 シャワーを浴び、夕食後、『山のクジラを獲りたくて』武重謙(山と渓谷社)を夢中になって読む。ひとりで山に入り、足跡や五感や知識や経験や思考を駆使してイノシシやシカを追い仕留める単独忍び猟の、猟を始めて2年の記録と猟に必要な道具やハウツーなどがまとめられた一冊。非常に誠実で丁寧でフラットな目線で記されているので、たいへん好感をもって読み進む。子供の頃読んで宝物のようにしていた冒険本を思い出す。この本、すごく好きだ。

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