●担当者●ときわ書房志津ステーションビル店 日野剛広

2020年4月2日更新

『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』李龍徳

 本欄で私が紹介する最後の作品。この1冊の小説は、私が1年間で取り上げてきた作品の中で、最も辛く、救いがなく、絶望的な物語である。 今この時期にわざわざそんな作品を選ばなくとも良いではないか、という向... 記事を見る »
2020年3月5日更新

『ぼくのまつり縫い』神戸遥真

 これまでの私のチョイスからすると、日野!どうかしたのか!?と言われてしまいそうですが、今月はこの本に決めました。至って真面目ですよ、私は。 理由は2つあります。とてもいい本だからです。もう1つは後述... 記事を見る »
2020年2月6日更新

『ブードゥーラウンジ』鹿子裕文

 オレはこの本を紹介するために、この「横丁カフェ」の執筆依頼を本の雑誌社から受けたのではないか。 話は昨年末に遡る。本の校正を生業とするその可憐な女性はオレにこう言った。「私、実は人に本を勧めることっ... 記事を見る »
2020年1月9日更新

『実像』秋山千佳

「広島のマザー・テレサ」と謳われる1人の女性。行き場のない子供たちに無償で手料理を振る舞い、生活や更正を支援し続けている。メディアはその慈善活動を賞賛し、ここ数年での脚光は実に眩しい。しかし、脚光を浴... 記事を見る »
2019年11月7日更新

『グレタ たったひとりのストライキ』マレーナ&ベアタ・エルンマン、グレタ&スヴァンテ・トゥーンベリ

 今、世界で最も注目されている人物、グレタ・トゥーンベリ。  2018年夏スウェーデン、15歳のグレタは同国国会議事堂の前で、たった1人で「気候変動のための学校ストライキ」を決行します。 グレタは主張... 記事を見る »
2019年10月3日更新

『ナチ 本の略奪』アンデシュ・リデル

「ナチが略奪したのは美術品だけではなかった。」 それはつまり、このタイトルの通り、"本"のことである。 本書によれば、第二次世界大戦中、ヨーロッパで消失した本の数は何百万冊にも及ぶという。戦火によって... 記事を見る »
2019年9月5日更新

『まともがゆれる』木ノ戸昌幸

 京都に『スウィング』という名のNPO法人があります。ひと言で言えばいわゆる障害者支援のための福祉団体です。障害を持つ人たちによる近隣での奉仕活動を運営し、更には彼らの表現活動も支援しています。 ここ... 記事を見る »
2019年8月1日更新

『平和の栖 広島から続く道の先に』弓狩匡純

「七五年は草木も生えん」 1945年8月6日、広島に何が起こったのかは最早説明するまでもないだろうが、原子爆弾によって焦土と化した広島は、75年という膨大な時間をかけなければ復興は無理だと、当時誰もが... 記事を見る »
2019年7月4日更新

『女たちのテロル』ブレイディみかこ

 ブレイディみかこという書き手と今の時代をともに生きるということは、この不穏な世の中にあって、とても幸福なことである。  彼女のプロフィールについては、いまさらここで説明する必要はないだろうが、ひとつ... 記事を見る »
2019年6月6日更新

『まなざしが出会う場所へ』渋谷敦志

 災害や痛ましい事件が続く昨今、その報道のあり方に疑問を呈する向きは多く、特に被害者、遺族への容赦なきカメラ、マイクが向けられる光景を、テレビなどを通じて目の当たりにした時、私たちは強い不快感を覚え、... 記事を見る »
2019年5月9日更新

『牙』三浦英之

 ケニア共和国ツァボ国立公園の人気者であったアフリカゾウのサタオ。その無残な死体が発見されたのは今からちょうど5年前の2014年5月。世界的に突出した「牙」を持ったために、密猟者によって生きたまま顔を... 記事を見る »
ときわ書房志津ステーションビル店 日野剛広
ときわ書房志津ステーションビル店 日野剛広
1968年横浜市生まれ 千葉県育ち。ビールとカレーがやめられない中年書店員。職歴四半世紀。気がつきゃオレも本屋のおやじさん。しかし天職と思えるようになったのはほんの3年前。それまでは死んでいたも同然。ここ数年の状況の悪化と危機感が転機となり、色々始めるも悪戦苦闘中。しかし少しずつ萌芽が…?基本ノンフィクション読み。近年はブレイディみかこ、梯久美子、武田砂鉄、笙野頼子、栗原康、といった方々の作品を愛読。人生の1曲は bloodthirsty butchers "7月"。